VSアルティメットゴブリン エスト編-3
エストの使用するヨーヨーという武器での攻撃法は主にヨーヨーを相手にぶつける打撃攻撃である。これは格闘ゲーム等でヨーヨーが使われる時に使われている攻撃法であり、アルティメットゴブリンもそれを意識していた為に避けたのだろう。
実際、ヨーヨーは当てたとしてもそれによるダメージは高くない。ならばどうやって相手を倒す……もとい、殺すのかと言えば……ヨーヨー本体では無く、ヨーヨーを操る為の糸の部分が重要となる。これだけならばワイヤー単体でやったとしても同じだろう。
だがしかし、アルティメットゴブリンの真後ろへと飛んでいった2つのヨーヨーは視認できぬほど細いワイヤーをアルティメットゴブリンの両肩に張り付かせていた。僅かな障害としか見えないが、繊細な動きを必要とするこの場面ではアルティメットゴブリンの動きはかなり鈍ってしまっていた。
その様子を見逃さなかったエストは一気にヨーヨーを引っ張る事でアルティメットゴブリンの後頭部にヨーヨーを当てる事に成功していた。2本のワイヤーによって首が回せなくなっていたアルティメットゴブリンはその一撃を避ける事が出来なかった為、手に持った〖ルーカ〗を落としてしまうのだった。
その後はエストがヨーヨーを強引に振り回してアルティメットゴブリンの首をヨーヨー2つで縛った後、遠心力を意識しながらグルグルと回り、最高に勢いが付いた所でアルティメットゴブリンをダンジョンの壁に叩き付けた。するとアルティメットゴブリンの頭部は破裂したかのように粉砕されるのだった。
「……一応合格じゃの。」
「一応ですか?」
「正直言って大橋の言っていた奴を再現させるのが難しいんじゃよ。常人なら神話の1つの武器をイメージする事も出きんし、それに加えて性質まで付けるのも無理なんじゃよ。じゃがそれでもまだ不完全じゃったわけじゃけどな。大橋の言う人物ならばあの程度、平気な顔で対応しておったじゃろうよ。」
アルティメットゴブリンの知性は上がっていたが、それ故に臨機応変な対応が出来ていなかったらしい。というのもスキル関係を不完全な【殺戮魔法】に極振りしたようなものだったからだ。その為、本来ならば〖ルーカ〗を投げて攻撃する事や、首を絞められる前に飛ばすことも出来た筈なのだが、パニックになったアルティメットゴブリンは残念な死に方で終わってしまうのだった。
「……まぁ、【殺戮魔法】に関しては私も詳しくないしね……。」
「防御無視効果が常着された魔法など恐ろしい物は再現は難しいわい。ただ、お主等はよりバランスの取れたアルティメットゴブリンと闘うこととなるぞ?」
トキトウはそう言いながらファイズに頼んでアルティメットゴブリンの微調節を行っていた。その様子を見て残っていた4人は顔を青くするのだった。