魔法の杖を作るために拉致された人-3
「………なんでここまで使えないのよ……。剣のイメージはよくやってたのに……。」
「確かにそうかもしれんが、直接握って攻撃する事は無かったじゃろう?故に、お主はナイフの1つすらまともに扱えんのじゃ。」
最初は全員にナイフが配られていた。刃の形状は好きに選んで言いという条件で訓練を行っていた。ただ、大橋は大振りになりやすく、ナイフの特性を何一つ活かせていなかった。
「大方あのソニックとやらで投げる事しかイメージ出来ておらんかったのじゃろう。それに、投げナイフとお主等の言うサバイバルナイフは形状と用途が異なっておるのにも関わらず、イメージが普通のナイフじゃ。それ故に投げてしまおうという雑念がうまれておる訳じゃの。最終的に体術でゴブリンは殺せておるから酔いのじゃが、これではこの先さらに苦労するぞ。」
「分かっているわよ……でもこのまま疲労が溜まるとゴブリンにすら殺されるわよ……。」
「流石にそんな事は無いじゃろ……。」
ただ、このまま疲労を溜めても得る物が何も無いと察したトキトウは大橋を含めた他の者達も呼び寄せて休憩を言い渡した。それを聞いて大橋と同じく疲労で倒れたエストとドラッヘナー姉妹は安堵し、瑪瑙はナイフは自分のスタイルに合わないと不満な顔をしていた。
「……そういえばトキトウさんっていつマツリカさんと知り合ったんですか?」
「…思い出したくないわい。まぁ、一応エルダードワーフの長になったという時に挨拶しに来たくらいじゃの。まぁ、儂は長では無いのじゃが。後、しゃべり方に関しても彼奴の前では変化させんとやってられんわい。それ位苦手な女じゃ。」
トキトウはそう言いつつ、エストをパンドラと呼び間違えた。ただ、エストは修正するのも面倒なのか、たまにしか訂正しないようになっていた。ただ、その事をトキトウは気にしていないのか、ナイフの次に使う武器を選ばせようとしていた。
「ナイフを使うときは窮屈でしたから、トンファー辺りが妥当でしょうか?いや、でも中距離の相手に攻撃する手段も……となると銃剣辺りですかね?いや、思いきってモーニングスターでも…。」
「モーニングスター型の魔法の杖って普通想像できないわよ。でも剣を触媒にするのはよく見るわね……。それに武器にも人格が出来る事もあるし……。」
大橋がそう言っているのを聞いて、トキトウはどういう事なのかと聞いていた。そして大橋が話した内容からため息を付きながら「もったいない」と呟くのであった。