ラビネア制圧-1
昼の間に潜入した彼女達は、侵入ルートを見繕っていた。暗殺される事等を考えていない為か、領主達の住む屋敷には一切罠が無く、外側から入りにくい事以外は普通の屋敷であることが判明していた。
「暗殺部隊は瑪瑙とエスト。私とリューカ、リューヒは資料などを探す方にシフトするわよ。多分、これが最もベストだと思うわ。」
「いざという時に気絶させる為か。罪を被せる事を考えると瑪瑙は刃物で殺した様な形を心掛けないといけないだろうな。」
「分かりました。……しかし暗殺した後はどうします?」
「領主を殺した後は受付嬢達を脅迫して主導権を握る。冒険者達は後でどうにかしよう。殺すよりはファイズの改造用に捕らえても良いかもしれないしな……。」
その夜、彼女達は翌日の夜に暗殺を実行する為に偵察を行い、ガチャをコッソリと使って食事と就寝した後、ストレス解消の為に迷宮へと向かった。迷宮の種類は受付嬢達でも把握しきれていない為、少し時間が掛かったが彼女達は夜までの時間を迷宮の中で過ごしていた。
「レベルが低いから楽に倒せるけど……アイテムはすぐにガチャポイントに消えたわね……。」
「そうだな。まぁ、終わった事を悔やんでも仕方が無いか。さっさと暗殺を終わらせてからこのギルドを制圧するぞ。」
その後の彼女達は管理人こと領主を自称する者の屋敷に潜入する。家の灯りが消えていた事と窓ガラスを割ろうとしても上手く割り切れない事から、正面玄関の鍵をピッキングで開ける事で侵入する。本当はもう少しスタイリッシュにしたかったのだが、いかんせん窓もそこまで大きくない為、望んでいるようなシチュエーションは出来ないのである。
「取り敢えず私達は運営関連の書籍を探すから、瑪瑙達は暗殺をお願いするわ。ちゃんと鑑定してから殺すのよ。」
「分かっていますよ。では、全てが終わった後、ここに集合しましょう。」
暗い屋敷の中で彼女達は別れていった。途中、使用人らしき女性を気絶させてはいるが、その辺りは気にしてはいけない。決して、彼女達が調子に乗って力一杯ハイタッチしたから気付いて出てきた訳でも無い。偶然館内の地図を持ち歩いており、ノコノコ出てくるご都合主義的な感じで出てきたのが彼女である。しかしある意味1番幸運な少女でもあると感じられた。
実際、この屋敷の自称領主の管理人は派手好きな性格だった為、寝室のシャンデリアを瑪瑙に切り落とされ、なぜあるのか分からない突起部分に首を貫かれて死亡しているのだ。なので、首トンだけで普通に生きている彼女は儲けものと言えるだろう。