怨念籠もるダンジョン-1
「……で、儂の貸した漫画だけでは飽き足らずガチャを回してバージョン違いの漫画も買い漁った結果、8桁が2桁にまで減っておったと?」
「「はい……そうです。」」
「バカモン!訓練メインであまり狩りに行けない今、使いすぎてどうするのじゃ!いや、見張りを立てんかった儂も悪いのじゃが……取り敢えず、体はもう治ったんじゃろう?」
マツリカの言葉に2人は頷く。モンストロ帝国との戦から2週間が経過した為、2人は万全とは言えないが普通に生活しても骨折などをしないレベルにまで回復していたのだ。
「まぁ、これに関しては罰を与えねばな……。まだアレは残っておるからのぉ……、そこからある物を回収してきて貰いたいのじゃ。」
「「ある物?というかアレってなんなんですか?」」
「そうか、お主等はあの部屋から出ておらぬから分からんか。アレというのはダンジョンの事じゃ。前回の戦とこの国で最初に暴れたときの死体の怨念がダンジョンを作ってしまってのぉ……。お主等にはそのダンジョンのボスが落とすアイテムを拾ってきて欲しいのじゃ。」
本来これに対応するべきなのはクライアなのだが、彼は頻繁にここに戻れる立場では無くなってしまっている。その為、怨念がダンジョンを作るのを防止することは出来なかったのだ。
「ちなみにあの2人はダンジョンへは来ないぞ。お主等2人だけじゃ。まぁ、監督役もついて行かんが……そこで怠ける事は出来ぬぞ?」
「なんとなーくその理由は察せるわね……。」
「ダンジョンは何階層あるんですか?」
「ファイズと共同で作ったカメラ付き進撃爆弾では6階層程じゃな。まぁ、爆弾ではダンジョンコアごと吹き飛ばすのでな、中々討伐報酬が手に入れられんかったからのぉ……。よろしく頼むのじゃ。」
そう言いながらマツリカは2人にダンジョンまでの地図を渡した。そこまで行くためにはモンストロ帝国の戦で手に入れたワイバーンを使えば良いのだが、2人はそこまで頭を回せず、歩かなければならないとゲンナリしていた。
「あぁ、それとこれはファイズからの餞別じゃ。ダンジョンから出たときに使うと良いのじゃ。」
「あ、ありがとう。」
絶対に自分の嗅覚の為だと思いつつも2人は〖消臭結晶〗を受け取っていた。このアイテムは〖洗浄結晶〗と違い、臭いを消すことに特化したアイテムである。一見下位互換に見えるが隠密系のモンスターの骨を砕いた物と魔力の籠もった結晶を砕いた物を混ぜるだけで完成するので量産するにはやりやすいアイテムなのである。
それから1時間ほどで準備を終わらせた2人はダンジョンへ向けて出発していくのであった。