やはり想定外の事をしていましたか-3
「そもそも、ステータスって転生物の作品で見れる作品と見れない作品、両方に良作あるわよね?だから別にステータスの数値を気にする必要は無いと思うのよ。職業も同じ感じで……。」
大橋の言葉に瑪瑙もうんうんと頷く。数値を隠す等して表示される情報量を減らした功績のある者達への冒涜も入っていたが、それは議論の中に上がらなかった。
「……ただ、最後の職業何にしていたのか覚えてないのよね……」
「自動で変化する事もありますからね……。覚えている方が珍しいのでは?」
「それもそうね。」
ステータス画面に表示されていた職業の恩恵も無くなっているが、職業補正でどうにかなるレベルの者はいなかった為、戦力的な影響は無い。むしろガチャ能力を持つ者達は圧倒的な数の職業がガチャから消えた為、より強いアイテムが手に入る様になったので職業が消えた事を惜しむ者は当然の如くいなかったのだ。
「ただ、この世界で今の私達は何のジョブなのかは気になりますけどね。無職では無いですが兵士という訳でもないですし。」
「そうよね……。その辺りは気にしない方が良いかもしれないわ。下手すると訓練がよりキツくなるわよ。……今の私達にはそうなった方が良いのかも知れないけど。」
大橋はそう言いながらマツリカが差し入れしてきた漫画を読み始めた。ただ、どれも打ち切りやそれに近い形で終わってしまった漫画だった。大橋はその中からサッカー漫画を一冊手にとって読み始めた。
「その漫画って最後が物凄い酷い終わり方ですよね?」
「そうね。少なくとももう1話あると勘違いする終わり方よ。……でも私達はこんな終わり方にはならないようにしたいわ。」
「まぁ、言われるとそう思ってしまいますね。」
翼をブチブチともがれながら、反撃するセリフすら言えず、俺達の闘いはこれからだ!とも言えないまま連載終了しているその漫画を見て、瑪瑙は別の野球漫画を取り出した。これは野球部のマネージャーが経済関係の書物を読んでみたらという小説を書いた人が書いた別の野球小説を原作とした漫画だった。
後に公式戦で負け無しの戦績を誇るようになる高校の礎となった10人のエースの事を描いていく物語なのだが……5代目が一応登場した所で連載が終了した。2代目がエースだった頃で終わってしまったが……月刊誌でなくとも終わってしまうのは仕方なかったかも知れない。4代目までは監督としての技量やエース達の実力が不足していただけで言い訳できるのだが……それ以降は8代目辺りまではどうしようも無い理由で負けてしまっている。
ネタバレになってしまうが漫画の連載終了時に出てきた5代目は実力があり、最初は高慢だった態度も4代目のひたむきな努力に感化されて真面目になっていく……が、別の部員が起こした暴力事件により部活停止処分となり、公式戦で投げることが出来ぬまま終わってしまう。
その後も6代目がマウンドで倒れた後運ばれた病院で容態が急変し死亡、7代目は6代目の死を引きずり、8代目により明るさを取り戻すも……甲子園には届かなかった。ここまで書いてみると4代目が最後の最後まで投げきった後に負けたという事と比べると重すぎるのだ。
「……漫画を読んで小説買って貰ったので、途中で終わるのは残念でしたけど……この流れだと仕方ないと思いますね…。」
瑪瑙はそう言いながらもガチャの効能でもしも連載し続けられていたらという漫画を出すためにスマホを操作し始めるのだった。それを見て大橋も負けじとガチャを回す。その後、病み上がりに魔物狩りをしに行ってガチャPを稼がなければならなくなるのはまた別の話だ。また別の機会に話すとしよう。