やはり想定外の事をしていましたか-2
サーバーが爆破した時に死んでしまった天使ケミケイネスは死んだその場で生き返る能力を持っている。だが、自分の名前や友人、家族、上司との関係以外の知識を全て失ってしまう。その為、爆破したサーバーを作り直すのにもそれなりに時間が掛かるのである。
最終的にサーバーの性能を格段にアップさせる事を優先させたが、それまではなんとか現行機をちょくちょくレストアしてどうにかしていたのでそれなりの回数死んでいる。何回も死んでも記憶が蘇って狂うことは無いが、周りが心配するからと大幅アップデートに取りかかったのだ。
だがしかし、そのハードの差は歴然としていた。例えるならばポケベルとスマートフォンという形である。それだけのバージョンアップを1年足らずで作成しようとした結果、ケミケイネスは何度も何度もサーバーとなる筈の素材を爆破させてしまっている。逆立ちしてもポケベルから最新型のスマホにまでスペックを変えるには使っている素材が力不足であると気付くのはもう少し先の話だ。
「……にしても私達以外にもやらかしているのって多いのよね?」
「戦闘狂になっていたり現地の方々に弟子入りしたりという事が結構あったそうですね。その過程で生徒会長はスカート履かされたりしたそうですし。」
「そうね……現地の人から色々と習うってのと職業を無視して色々とやっていたのもありそうね。」
まぁ、誰かに保護されるのが予定調和だとしてもあのステータスはあくまでこのステータスの規格に沿って鍛錬などを積んでいくと仮定していたのであろう。だが、全員がステータスをあまり見ないまま訓練を続けた結果、キャッシュを処理出来ずにサーバーが落ち、爆破したのだと2人は確信していた。
スマホでステータスを見るのが暇つぶしにならなかった事も関係している。というのも剣城の持つアプリで物資が不足する事は無いし、能力者である生徒会もガチャの共有を可能にしている。その結果、誰もステータス画面に異常を感じなかった事もサーバーが狂った原因にも繋がっているのである。
「……そういえばステータス関係が表示されなくなる漫画ってありましたっけ?」
「少なくとも初期設定や出ていたキャラがいなくなるのはよくあったわよ。ギネス記録達成した警察漫画でも初期に人気だったキャラの一部がキャラ被ってるからって出てこなくなる事もあったし。」
後半になると初期に出てきた重要キャラも霞んでいく事はよくある事だと2人は話しあっていた。まぁ、その理由として最期の最後に盛り込む事が難しかったりするのでそれが悪い事だとは言い切る事が出来ないのだった。