絆を断ち切る事に快感を覚えるのです-1
瑪瑙 湯子という少女はモンストロ帝国との戦でミレダニアとテスタロッサと闘った際、ある快感を覚えていた。ミレダニアとテスタロッサはお互いが認識し合っていないものの、ミレダニアは祖父と同じ相棒と供に闘っており、見える絆も見えぬ絆も含めて2人は最高の相棒同士だったのだろう。
そんな絆を瑪瑙はあっさりと壊していた。ミレダニアとテスタロッサを殺す事によって。ただ、絆を持つ者の前で片割れを殺す事……それに瑪瑙は快感を覚えた。何も言えないほど恍惚な達成感を覚えた。故に、瑪瑙 湯子という少女の価値観は狂ってしまったのだ。
「……やはりこのシーンは良いですよね。絶対に死なないと信じてきた仲間がこうもあっさりと血しぶきに変わったのですから。まぁ、この作品はスピンオフも含めてまともな終わり方してないんですけどね。完全に後先考えず突っ走った感のある終わり方でしたし。」
「いやそれはそう感じる人少なくないでしょうけど……なんか雰囲気変わってない?」
「変わってませんよ~。私はいつも通りですよ、いつも通り。」
「昔はこの手の漫画あまり読まなかった記憶あるんだけど…。」
「それはそうかもしれませんね。さてと、次はこの作品ですね。まぁ、裏切りとか少ないですけど。生き残ると信じていた人が死ぬシーンはどことなく惹かれますよ……。」
瑪瑙はそう言いながら無人島にネットで集められネトゲと同じアイテムでバカスカやる漫画を取り出していた。主人公の相棒的なポジションにいたキャラが最終的に主人公達を襲った事に罪悪感を感じて自滅するシーンは色々と考えさせられる人も少なくなかったのでは無いだろうか?しかしアニメ版で記憶が止まっている為、先の展開が分からない大橋は瑪瑙を不気味に思うのだった。
「……まぁ、絆が関係している作品だけなのよね……。アニメで理不尽に死ぬ人が多かった弓師の作品とかは読んでないわけだし。」
「あれグロにカテゴリされるのアニメだけらしいですよ?アニメ化に伴う悪質なイメチェンの1つだと思われます。」
「……確かにそういうのはあるけど……。」
「どちらかというと恋人に思いを告げる前に死ぬタイプの作品が読みたいんですよ。ほら、帝国VS義賊漫画でもよくあった様に。」
「その手のタイプの漫画は多いからどれかよく分からないわよ。大体予想は出来るけど。」
なんとか上半身は痛み無く動かせるようになった瑪瑙と大橋はガチャで出した漫画を読みながら漫画に関して話しあっているのだった。