表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
866/922

茫然、騒然、大接戦-2

大橋は自分が本気で死にかけた事、運が良かった戦闘に関してある事を思い出していた。それは剣城から聞いた、彼女が死にかけた時の話である。ただ、その時の相手は少なくとも大橋が対峙した人間の姿になれるワイバーンとは比にならないくらいの強さを、圧倒的な実力差を持っていた。


剣城が最初に死ぬかも知れないと思っていた相手であるラピはアンデッド系の元魔王であり、殺しても死なないという脅威の回復力、生命力を持ち、剣の腕も並以上だと言う。殺した筈が生きていたという程の回復力は大橋も数回ほど見たことはあった。


剣城が土下座してどうにか生きながらえたというガンダレスという男の強さを大橋は見たことは無い。だが、少なくとも兵士達をいたぶっているワイバーン達とは比べものにならない何かがあった筈だと感じていた。


「……レベルが違いすぎるわよ。」


大橋は知らない事だが、アベルも本気で潰そうと思えばいつでも剣城を殺すことが出来るのだが、敵対した事は無い。少なくとも模擬戦を挑もうと思う気力も無いのだ。そんな相手とすら巡り会えない程自分は弱い存在なのかと大橋は嘆いていた。


「……少なくとも私はあのワイバーン達で絶望している様じゃあ弱いままなのよね……。」


従っているフリをして反撃する事も考えられない程、大橋は自分の成長していない魔法を見る。既に兵士では無く肉塊になった何かをまだいたぶっているワイバーン達を見て、大橋は既にやる気を無くしていた。


「これじゃあ裏切った事も無駄になるじゃない……。」


今更彼女は自分が裏切った事や巻き込んだ事を後悔していた。罪悪感も合わさって吐き気がしてきた。既に彼女は立ち上がる事すら出来なかった。そんな彼女は救われない。手を差し伸べられない。ただ、人間の姿となったワイバーンの首を笑いながら切り裂いた瑪瑙の姿を、圧倒的な火力でワイバーンと兵士を跡形も無く消したドラッヘナー姉妹という、自分よりも遙かに優れた結果を出した者達を見せつけられるのだけだった。


「……大橋さん、貴方は何をしていたんですかね?確かに先程のワイバーン達は強い雰囲気でしたが……雷にのみ強かったようですね。相性は最悪でしたね……でも、それならばサッサと助けを呼ぶくらいはしても良かったんですよ。」


助けを呼ぶことをしなかった事を責められた大橋からは目のハイライトが消えていく。ただ、拳に雷を纏わせながら瑪瑙に向けて殴りかかった。既にドラッヘナー姉妹により殲滅が終了した事により戦が終了していた事、そして何より自分の弱さを馬鹿にされたような気分になった大橋は瑪瑙に八つ当たりをする様に殴りかかるのであった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ