魔法を作って遊んでみよう-5
「第一の剣、ソニック!」
大橋はアベルの真似をして第一の……という様なフレーズを使う事にしていた。しかし、アベルの様な威力は出ず、何度も第一の剣を連打していた。
「……ぷっくくくく……笑えるわ~。まぁ、アドバイスはせぇへんけどな。第一の矢とかは完全に先人がいた訳やし。」
「それ、早めに言ってやらんと不味いんじゃないかぇ?まぁ他の2人は既に威力を大幅に上げておるのじゃから……まぁ、他人の成功を真似しておるだけじゃから、もう少し様子見じゃな。」
アベルとマツリカは自分の魔法が思った以上に上がらない事に焦っている大橋をただ見つめているだけなのだった。……まぁ、種明かしをすると第一の~という様なタイプの魔法の威力を上げるには第二、第三の物も作らなければ威力が固定されてしまうのだ。……それに加えて、大橋は自分の魔法のイメージの中にどうしても防御力無視の効果を持つ剣城の【殺戮魔法】が頭の中にちらついてしまっている。これによりさらなる弱体化をしているのは間違いないだろう。
【殺戮魔法】は元々の威力も強いがそれ以上に防御力無視の恩恵に縋っている。剣城はそれを訓練する事である程度の抵抗力には対抗できるようになっていた。実際、ガンダレスと闘った際にも一応1回は追い詰めているのだ。
「……第一の剣、ソニック……。」
ただ、疲労によって集中力の切れた大橋は最後の1本を岩に当てた後、そのまま倒れ込んだ。完全に魔力切れであり、やれやれとマツリカが背負ってベッドまで運び寝かせていた。そんな形で眠っていた大橋はとある夢を見ていた。
大橋は親友がおり、優しい家族が健在であり、恵まれた環境で過ごせていた。だからこそ人を殺したと明言していた剣城を悪人としてみていたのだ。だが、その時の自分に向けた剣の顔はただただ自分を情けない者として見る顔であり、大橋は飛び起きていた。
「……剣城は……今の私を見てなんと言うでしょうかねぇ…。」
その後大橋は紫色の火の玉が自分の周りをくるくると回っていると思った後に眠っていた。ただ、その後に見た夢はとにかく最悪だった。というのも大橋は狼にかみ殺されたりだとか、ライダーキックにより体が爆散したり、マツリカの爆弾で爆散したり……と思わずまた飛び起きる程であった。
「……フフフ、成功だ!自分と同等以下の者にしか効かないが悪夢を見せる催眠術を帯びた魔法……これはついに完成したぞ!実験協力感謝だ大橋よ!」
なぜかベッドの近くにいたエストのその言葉に大橋は寝起きとは思えない速さでエストの背中に回し蹴りをしたのだった。