魔法を作って遊んでみよう-2
リューカ・ドラッヘナーとリューヒ・ドラッヘナーは病に伏して死んでしまったドラッヘナー公爵の娘である。ドラッヘナー公爵は妻が亡くなった後に再婚する事も無くこの世を去った為、彼の治めていた領地は別の貴族が管理する事となった。
そこで2人を世話すると言い出したのはドラッヘナー公爵と遠い親戚関係となっているブロコーラス子爵である。ただ、この2人の領地は大分離れていた為にクライアとブロコーラス子爵が用意した兵で護衛する事となった。
しかしブロコーラス子爵はドラッヘナー姉妹を利用しようとしていた事から、クライアは面倒くさそうにブロコーラス子爵を不慮の事故として殺害したのである。まぁ、ブロコーラス子爵は悪の道を進もうとしているクライアにとって全く尊敬できない人間だったからだ。クライアは正々堂々とした悪を目指していたが、ブロコーラスは悪というよりは汚物と呼べる様な事しか出来る人間で無かったのである。
ただ、ブロコーラス子爵を殺した際に上司からこの双子の管理を押し付けられてしまった為、クライアは彼女達を新ゲーテンベルド王国に置いてきたのだ。
「……あれ……複合できたの?」
「これこそ!」
「私達が!」
「「強者である証だ!!」」
そんなドラッヘナー姉妹の内、リューカは光魔法を、リューヒは闇魔法を得意としている。そして光魔法と闇魔法を完全にシンクロさせる事で産まれる力はスキルとして【虚】と登録されていた。
「……お主等は【虚】の様な事はしない方がいいのじゃ。少なくともあの馬鹿げた連携はあの双子にしかできん。じゃが、あの様に魔法の形を変えることは出来る。拳の形にしたり、龍の形にしたりもな。」
「……まぁ、適正ないしやるつもりは無いけど……形を変えるってどういう事?」
「……言霊みたいな物じゃ。詠唱せずとも魔法は使えるが言葉でやればより強力な物となる。じゃが、さっきの双子のような形にせんと意味は無いがな。モチベーションなども威力の向上に含まれる要素となる訳じゃからの。」
「まさかの精神論ですか……でもそれならエストが色々とやれそうですよね……。」
瑪瑙と大橋がそう話していると、エストはファイズ性の岩を早速用意していた。ただ、エストはイメージとセリフがまだ思いついていなかったらしく……恥ずかしいセリフを言いながら不発し、双子にからかわれていた。
「…………笑うな!笑うなぁ!!」
エストは涙目になりながら双子を追いかけるのであった。