一点集中魔法講座-1
今回から暫くは三人称です。
「全く、お主等は全然成長しておらんのじゃ!折角都合の良い奴等をけしかけたのに、これじゃあ意味が無いのも同然じゃ!」
マツリカは研究の旅から帰ってきた後、大変ご立腹だった。というのも新ゲーテンベルド王国に戦争を仕掛けた国を煽っていたのは彼女である。その為、全く成長していない結果を見てマツリカは3人を正座させているのであった。
「人を殺す覚悟は確かに出来とったんじゃろうが……これではその覚悟は何の意味も無いわい。下手したら師が帰ってこいと電話する前に連絡が取れなくなり、その後交通事故で亡くなったニュースが出る事と無っ取ったぞ?実際アベルが将軍殺していなければ黒丸新聞の記事は期待のルーキー登場では無くアベルにより殺された兵士達の写真になったじゃろうて……。」
マツリカのキツい叱り方に3人は完全に沈黙していた。実際その通りだったのだから言い返せないのだ。まぁ、擁護の声が聞こえない事もあって3人はさらに強くならなければならないと思った事だけは収穫だった様な感じだとマツリカは思っているのだった。
「……しかしあの将軍だけはずば抜けておったが……それでも儂等と比べると大した事は無い。グラノアが全力で手を抜いて善戦出来るか?という程の実力じゃ。少なくともこの強さではあの執事は倒せんわい。」
セバスは元々人間離れした実力はあるが、マツリカと比べると劣っている。しかし、彼女達と違いセバスは数年も経たぬ内に自分達に追いつける程の実力はあると判断していた。だが、彼女達をそのまま鍛えるとなるとどうしても強くはなれないのは分かりきっている。彼女達は育て甲斐がある人間だとしても、十年に一度の逸材等と呼ばれる程の実力が発揮できる訳では無い。
マツリカは自分がガチャで全巻セットを当てて読んでいたバスケ漫画とは状況が違うことにため息を付く。だが、同時に自分が強くなった経緯を思い出そうとすると、時間が足りないと感じるのも、また事実だった。
「……やはり、何か一点に集中させる事を覚えさせんとこれ以上の速さで強くなるのは無理じゃな……。」
「……そうだな。しかしあくまで魔法だけの範囲だけだぞ?それ以外はこれまで通り行わせて貰う。」
マツリカはそれを聞いた後、3人にとって何が適性なのかを鑑定した後、それに関係する特訓メニューを考えるために自室へと向かったのだった。ただ、3人は正座を続けた事により足が痺れてまともに立つことが出来ないまま朝を迎えるのだった。