回復魔法の修得についての考察-4
あれから2週間ほどが経過すると、私達も治療に駆り出されていた。研修医達と比べて上達するのが早いとディーは言うが、いくらなんでも世間話をしながら医療ドラマ並の治療を熟すまでにスキルを上げたセバスを見て私はため息をついた。
「……一応ドラマとかでよく見る様な急な出血等は無いんだけどな……お前達は脳みそを2つ持っているのかと錯覚するよ。とゆーか母さんはよくセバスを引き抜けたな……。」
「それだけ真城様が魅力的な方だったからですよ。」
まぁ、研修医達もセバスに追いつこうと必死になっているのでディーにとっても良い傾向だと感じているらしい。ただ、面倒なのは研修医達が求婚しようとしている事なのだろう。というのも呉実や東は特に恋愛をした事が無い事からやんわりと断るのが苦手らしく、度々再アタックしてくるような人材を創り出している。
呉実の場合は即決で断っている為、断られた相手は自分の魅力が足りない等の感情が強くなり、後日また来る様な感じだった。東は物凄く曖昧に断った為、相手が遠慮しているのかと勘違いされてそのまま再アタックされたり押しが強くなったりした。
まぁ、カグヤの場合は恋人がセバスである事から諦める者が多かった。ただ、自分の妹や恋人、嫁に料理を教えてくれと言われる事は多く、本人もリハビリという形で料理教室を行っている。最近は細菌関連の予防をしっかりして養鶏を行う者も増えたらしく、卵が定期的に補充できる様になり、ディーも喜んでいた。それだけこの国では卵料理が流行し始めたのである。いや、カグヤはその辺りをあまり気にしていないのだけど。
ただ、回復魔法の修得に関しては順調に進んでおり、メルリスでの生活にも慣れてきていた。ただ、私達はこの後に起こることを予想していなかったのだ。
「………黒丸新聞から嫌な知らせが届いたよ。……どうやら新ゲーテンベルド王国とやらに攻め込んだ国があったらしい。そこで出てきた3人の人間により部隊は壊滅させられたけど……その生き残りが一斉にこちらに向かっている。」
「……その3人は……2人は転生者で1人は知らない奴だな。」
一応大橋も強くはなっているらしい。ただ、ディー曰く攻め込んだ国は黒丸新聞では盛り立てられているものの、実際はそこまで強くないと言われる国らしく、急激な変化をしているのかは不明だった。
こうして運び込まれた患者を診て私達が最初に言った言葉はたった一言だった。まぁ、これは大橋に対してしか言うことは出来ないのだが………。
「……まるで成長していない……」
運び込まれたのが攻め込んだ部隊の内、最高責任者以外の全員が運び込まれた事からそう呟くのだった。