メルリスでの治療-2
「……で、後何ヶ月くらいで治療が終わるんだろうな?」
「下手したら年単位ですね。私の場合は魔力血路がより複雑に作られていましたからその分ゴチャゴチャ感半端無くなってます。」
アルミナは悲しそうな目をしながらそう答えていた。まぁ、アベルの氷の威力はそれだけ協力だったのだろう。だが、それ故になぜ彼女達が生き残れたのかが分かってしまうのだ。
「……しかし、手加減されてもこれでは……例え運良く勝てたとしてもすぐに死にますね。命を掛けて主人公達の見えないところで強敵を倒して倒れる……みたいな感じで。」
「そうだな。あれはどう見ても手加減していたようにしか見えない。実際ガンダレスとアベルの奴が闘った跡地はとんでもなく荒れていたそうだからな。魔力の残滓だけで今のアルミナの状態になりそうなレベルだったそうだし。」
ただ、ここに来てからの回復は順調なのは間違いない。セバスはこの世界に来てからあまり日が経っていない為、一応肉体的な回復のために何度か軽い手術は行ったものの、魔力血路に関しては無理であった。一応アルミナの書いた魔法書に回復法は乗っていたが……結局はそこに書かれていた魔方陣を組み込んだ指輪等で悪化を防ぐ程度の事しかできなかった為、回復しているという雰囲気は無かったのである。
「しかしプラシーボ効果でならすぐに回復すると思いま……」
「それテンレの時はできたけど魔力血路に関してはノータッチな感じだからな?それに私はこの姿でコスプレしたくない。」
「……チッ。ここぞとばかりに当てていた服を着させようと思っていたのに……。」
アルミナは残念そうな顔で療養用のフカフカベッドに潜り込んだ。病院と言うと普通は硬いベッドがイメージされるのだが、アルミナは肉体的な物はほぼ治っており、後は魔力血路の自然回復を待つだけなので居心地重視でベッドがふかふかになっているのだ。
「……まぁ、食事も改善して欲しいとは思いますけど難しいですからね……。」
「一応バレーシアの馬鈴薯や野菜の種なんかを輸入する事が決まったから少しはマシになるだろうがな……。流石に点滴だけじゃ退屈すぎるだろう。」
まぁ、馬鈴薯の殆どはふかし芋やポテトサラダ等に加工される為にコロッケやフライドポテト等はここでは出てこない。ただ、これで食事の種類も増えるとディーは喜んでいた。
「……退院したら特訓して瞬殺されないレベルの力は付けておかないといけないだろうな……。」
まぁ、逆に大橋はどれだけ特訓したとしてもアベルと対峙して生き残った者達には勝てないだろうけどな……。