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療養の国 メルリス-1

「………あれから1ヶ月程経ったが……ここでの生活は堅苦しいな……まぁ、その分平和な事は間違いないんだが。」

「そうですな。しかし、だからこそ医療技術が発達している訳ですな。感覚的には大学病院にも思えますが。」

「……だからこそ堅苦しいんだよ。ったく糞親父は金掛かるからと訪問医しか呼ばないイメージだったが、一応連れては行っていたな。」

「その病院にも真城様のご友人がおられたのですよ。その関係で優秀な訪問医が来てくれるようになったわけですから。」

「……母さんの手腕が本気で恐ろしいんだが……。それでいてなんであんな糞親父とくっついていたのかが分からないな。」


まぁ、それは糞親父が猫被るのが得意だったの一言で収まるのだが、どうにも病院という物は落ち着けない。これが国中が病院の様な物ならば尚更である。しかし戦意喪失する様な精神的ダメージは治せないものの、肉体的な物は治療が進んでいき、今は経過を見る期間となっていた。


「……ただ、この国はミンティーアみたいに面倒な事にならなくて済みそうだから良いよなぁ……。」


周りの医者も医療ドラマの主人公の様な性格の持ち主ばかりである為か、治療に関する陰謀や地位争いは全く起こっていないという。それに前世が名医だったという転生者も自然とここに集まっていた為、負傷した者達の治療は円滑に進んでいた。


「……ただ、一言文句を言うなら……普通の人間にも味の薄いお粥しか食べさせないのがおかしいだろ……。とゆーか医療器具にばかり集中して食用の野菜が全く育てられてない。一応米とかはあるけどなぁ……。」


そうぼやいていると呼び出しという形で式神っぽい紙製の鶴がこちらに飛んできた。その鶴から聞こえてきた声に私はややげんなりとしながら呼び出しをしてきた人物の元へと向かうのだった。ただ、今回はセバスも同行させる事となったのだけど。


「……久しぶりですね、セバス。確か、貴方の主が亡くなってしまった時の葬式以来かしら。あの時にあの糞ババと糞男、糞な女をまとめて殺しておけば良かったと後悔しているわ。」

「……しかしそれではより面倒な事となったでしょうな。剣城様はともかく、糞女が産んだ子供が面倒な事になっていたでしょう?」


セバスが話している女性の転生前の名前はベーメンタール・ハーディオン。現在はディオンタールことディーと名乗っている女性だ。彼女は前世でセバスと同じ養成校に通っていたらしい。まぁ、メイドとなるはずが夫となる者の助手をしている内に天啓を受けそのまま外科医に転向したという女性である。ただ、どれだけの人物だったのかは私には分からないので生徒会メンバーに詳細を聞こうと思いながら2人の会話に耳を傾けるのだった。

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