アベル式格闘術-4
それから暫くの間瑪瑙とアベルはオーラの使い方に関して話しあっていたが、バルボアから飯の時間と言われた事ににより中断していた。だが、瑪瑙は段々とアベルの訓練に着いていけるレベルにはなっていた。あくまで供に走るレベルでは無く、走っていく車に長い紐をくくり、それに捕まっている様な状態でだが。
「……他の2人も結構いい線いっとるからこのまま訓練続けても問題ないわな。つるっちのトコ裏切ってきてる奴もおるわけやし。あれは身内には甘いんやけどなぁ……敵には容赦無い。それに2つ名も覚醒しちょるけんなぁ……。今の状態やと、この3人だけ手加減されても死ぬわ。」
「本人はアベルしか見てねぇからなんとも言えねぇが……あの執事も中々のやり手のはずだ。本当なら奴も負傷させておくべきだったんだろうが……それすらできなかったんだからな。」
「せやな。まぁ、こよっちはまともな戦闘をしてこなかった分弱かったっちゅーわけやからなぁ……。」
アベルはそう言いながら3人を見る。少なくとも身内でもなんでも無いエストはともかく、他の2人も下手したら殺されるのだ。いや、屈辱的な事に3人が生き残るためには剣城が無抵抗で殴られ続けるくらいのレベルで手加減しないといけない程とアベルは予想している。
「まぁ、防御より先に攻撃を鍛えた方がえぇか……。【殺戮魔法】ちゅー奴だけなら攻撃すれば砕けるわけやろ?」
「本人はそう言ってたわ。」
「まぁ、ダレっちや俺っち並の力が無ければすぐに押し返されるンやろうなぁ~。なぁファイズ。」
『そうですね。実際、〖王魂の林檎〗を食したとある王がナイフ1本を砕くのに全力を出し切っていた記録があります。』
「……まぁ、後3年くらいでこの王レベルまでは行けるやろう。レベルが違いすぎるわ、つるっちとお前さん等はな。」
その言葉はとてつもなく重く、3人は自分が死なないために訓練に望もうと思い始めていた。だが、アベルは半分面白がって参戦した為、午後からの訓練は少し遊び心を……と思っているとファイズがある事を提案していた。
「……成るほど、確かに飯の為なら本気になるわな。」
「……おい、アベル。なんか変な事考えてねーか?」
「いんや、まぁ気にせんといてや。今日の晩飯を賭けた3人の闘いが始まるだけやから。」
その言葉にバルボアは自分が計画していた訓練が壊れていく事を感じながらも、アベルに逆らうのは面倒なので「死なせるなよ」の一言を残して食事に戻ったのであった。