道連れが欲しい-1
「道連れが欲しい。」
3人の訓練が何巡かした頃、大橋はそう口に出していた。それを聞いて教官をしていた3人が首を傾げていた。大橋と同じ訓練を受けつつもなぜそんな事を言ったのかと質問していた。
「いや、途中から教官が2人になってよりハードルが上がってるのよ!」
「まぁ、ファイズに任せきっりにすると暇だしな……。筐体で遊ぶにしても同じ相手だとルール替えても飽きるしよ。」
「そうですね。でも最近出来た楽しみを独占されたくない感じですからね……。」
文句を言いながらも訓練にどうにか着いていこうと努力する大橋に3人は育て甲斐があると娯楽の様な感覚で行っていた。しかし6日も日が空けば訓練に合流するくらいの暴挙に出てしまうのも仕方ないだろう。
「ならもう何人か私と同レベルの子が欲しいわよ。少なくとも3人ローテーションは変わらないんだから訓練する私達も3人にした方が良いのよ!」
「でも分裂とかはできんじゃろ?かといってガチャから出る奴はファイズが譲らんしの……」
やはりカグラや警察組達を連れて来れれば……と思いつつ、大橋は悩んでいた。大橋のスマホはガチャの機能がお情けで追加されただけという物であり、後から転生してきた者が持つような場所を移動したりするという機能はついていないのだ。
「一番楽なのは高校生で比較的後に転移してきた2人だけど……下手すると剣城達に連絡を入れられるし……。どうしようかしら……。」
「根性があるかどうかで違いますからね。僕はやる気の無い人間を無理矢理やらせるのは楽しくないですよ。現に幼馴染の訓練なんて反吐が出るほどやる気が出ませんでしたし。」
クライアはそう言いながら白湯を飲んでいた。その様子を見て大橋はツッコミを入れようとしたが力が入らなかった。疲れているのでは無く、体が震えて動いてくれないのだ。
「まぁ、どこの誰かが新品の茶葉を混ぜなければこんな事にはならなかったんですよね……。」
「おいおい、それは俺じゃねぇ。むしろ被害者だっつーの。」
「2人とも落ち着くのじゃ。まぁ、新品の紅茶と緑茶とインスタントコーヒーとゆず茶とスキムミルクとターメリックを混ぜて一つの瓶に入れてしまった奴を恨むんじゃな。」
その視線は倒れている大橋に向けられていた。彼女は疲れ切っていた事により彼等が使っていた飲み物の詰め替えを全て混ぜてしまったのだ。スキムミルクとターメリックは自分が詰め替えようと準備していた物であり……彼等が白湯を飲む原因となったのだ。
それを受けて大橋は余計な視線を送ってしまったと後悔してしまうのであった。