戦闘訓練 バルボア教官の場合
3日毎に教官を替えるというお試し期間という事でクライアの訓練を乗り切った大橋は、疲れが取れぬままバルボアに朝早くから起こされていた。
「取り敢えず風呂入ってこい。そうすりゃ眠気も取れるだろ。念のためにファイズに確認させるがな。軽く湯船にも浸かってこい。」
「……分かったわよ。少なくともスパルタ前の気休めにはなりそうだしね。」
何故訓練の前に入浴させられるのかが分からなかった大橋だが、素直に従っていた。ただ、軽くと言われていたので比較的早めに上がったのだった。
「……今回は柔軟だな。風呂上がりにやれば柔らかくなりやすいんだよ。まぁクライアにも柔軟に関して話しておくか……。一応鍛えてはいたんだろうが体が硬すぎるんだよ。どんな生活していればそんな体になるんだか。」
「痛たたたたたたた!!もうこれ以上は曲がらないから!それに長座体前屈で49㎝って結構高い方よ!?」
「せめて63㎝くらい……というかお前の世界で言う体力測定で全部満点ぐらいの体は身につけろ!そうでないと俺の本気はともかく他の3人の奴には耐え切れないぞ。」
「この世界に来てからは点数大分上がっているんだけどね……騎士団での訓練で鍛えられていたし。」
「必要最低限しかやってなかったツケだな。聞いた話じゃあアベルの野郎が国攻めた時、変身アイテムに頼っていたんだろ?せめてその変身アイテムをさらに活かせる様に強くなれ。少なくとも体力テストとやらで満点行かないレベルの弱さでは俺が吹っ飛ばした奴等にすら適わねぇぜ?」
バルボアに吹っ飛ばされた警察組2人はリガを守る為に訓練をしていた。少なくとも騎士団から離れて必要最低限の筋トレしかしてこなかった大橋にとってはかなり堪えていた。
「そういえば魔法に関しては何か無いの?」
「……あぁ、そういえばそうだったな。まぁ、魔法に関しては寝る前にちょっとするだけで良いだろ。魔法行使しすぎて体が支えれませんという事態になならないようにしておくのが先決だな。それに魔法なら専門の奴が教えるだろうしな。」
「つーかアンタって本当に山賊だったの?かなり丁寧な教え方なんだけど。」
「雑にやると仲間が死にやすくなってアジトも割れやすくなるんだよ。それにたまたま指南書を持っている奴等を襲えたからな……。」
それ絶対転生者かそれに近い人間だよなぁと思いながら怪我をしないための訓練を続けていた。ただ他のメンバーの訓練が厳しいであろう事を想像すると、この平穏も逆に恐ろしくなってきたと感じながらバルボア教官の訓練を三日間熟したのであった。