戦闘訓練 クライア教官の場合
「……さて、今日から楽しい訓練の始まりですよ。」
「……今、何時ですか?」
裏切り者となった後の最初の朝、大橋はクライアに起こされていた。ただ、大橋は寝る前に寝具系のガチャを引いて安っぽくはあるがまともなベッドを引けていたので疲れは取れていた。だがどこでも寝られる者が多い中、寝具もいくつか持ち帰って貰えれば良かったと思いながら起きていたのだった。
ちなみに大橋自身のガチャ運は大した事は無く、剣城の様にウルトラレアがポンポン出てくる事は無い。その為剣城のガチャ運の恩恵を受けていた事を思い出したのだった。まぁ、親友が人質に取られているためそうは言ってられないのだが。
「今は朝の6時ですね。まぁ、グラノアを5時に起こして軽く訓練させておきましたので。明日もこの時間位で大丈夫ですよ。疲れをしっかり取っていた方がより良い効果を得られますから。」
クライアはそう言っているので初日から飛ばしてくる事は無いだろうと思っていたのだが……それはとんだ誤算だった。クライアのやり方はある意味効率を求めている。だが睡眠と食事後の僅かな休み時間以外は訓練に費やすというスパルタ教官なのであった。
簡単に言えば無理の無い休憩時間を与えているので訓練内容がどれだけ辛くても問題ないだろう?という脅迫の様な訓練法である。この訓練法法に辿り着いたのは幼馴染が真面目に訓練するように考え抜いたからである。もっとも、その訓練方法に辿り着いたのがアベル達の襲来の数日前である事からそれが本当に効果があるのかについては分かっていない。
しかしそれなりに鍛えられた成人男性を相手にする訓練である為か、騎士団に入団して訓練していた大橋でも着いていくのがやっとなのであった。
「……一応訓練は受けてましたけど……厳しすぎませんか?」
「ちゃんと休憩時間は設けていますし……足が吊りそうになったら休憩して貰っても構いませんよ?【回復魔法】の訓練にもなりますし……。」
「……そりゃそうだけどまだ馴染んでいないのよ……。昨日寝てる間に彫られた訳なんだから。」
疑似的な魔力血路をマツリカによって付けられたばかりである事から大橋は【回復魔法】を上手く使う事が出来ていない。最悪男性の服を着て訓練をする筈だったのだが……運動に適したジャージ等は男性服として認識されなかった事、動きにくい服でこなせるメニューでは無い事から大橋は休憩時間になるまで必死に訓練を行うのであった。
「……明日はマツリカさんが教官ですね。まぁ、身体能力を鍛えるのでは無く、魔法に関しての訓練にして貰うように話しておきますね……。」
無我夢中になりながら一日中訓練を続けた大橋をベッドに投げ入れた後、クライアは大きく伸びをした後、自分の訓練の為に外へ走り出したのであった。ただ、幼馴染が最初の休憩時間で倒れたのに対し、大橋は夜までやりきった事に関しては評価するのであった。