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番外編 ファイズの日常-1

アベル四天王の1人、人工知能のファイズは自分がどうして産まれてきたのかについて思い出していた。彼女は1000年前から独自の進化をしてきたが、創り出された当時のファイズは自分を創り出した者の命令を聞くだけの存在だった。


その命令は1つ、「私の話し相手になってもらいたい」という単純な物だった。しかしこの命令の中にはファイズがより自立した人工知能となる為に必要だったのだ。しかし、ファイズを創り出した者は、転生者になる前も、なった後も不幸な生い立ちだった。彼は誰も信頼できない前世を送っていた……だからこそ、彼は転生した後は人を信頼して生きてみようと思ったのだ。


そんな彼を歪ませたのは彼の才能を利用しようとする者ばかりだった事が挙げられる。彼はとある国で二番目に凄い魔法具師だった。だからこそ彼は酷使され、正当な評価を与えられる事は無かった。本当はとっくの昔に1番になっていたのにも関わらず、評価される事は無く飼い慣らされ続けた。


そんな彼は憎しみを持ちながら戦火に紛れて国を去り、人工知能であるファイズを作り上げた。ただ、最初は空気中にあるマナを動力に変換するのでは無く、太陽光発電で動力となる電気を得ていた。しかし長い間曇り空が続いた事、発電装置であるソーラーパネルの一部がゲリラ豪雨や雷により故障また破壊された事から信頼できる話し相手がいなくなったと錯覚した主がマナによる半永久的に稼動し続ける事が出来る充電装置を発明したのだ。


ただ、こんな事を続けていた彼は「なぜ自分は評価されなかったのか、こんな所で孤独なまま一生を終えなければならないのか」とより憎しみを強くしていた。そんな事を特に気にしていなかったファイズも数年、数十年も聞かされると少しずつファイズの人格にも影響していた。


彼はファイズに色々な事を話していた。無限に動く土の人形を作り出し、荷物運びとして酷使したり気に入らない人間を殺すという様な話をしていた。そして彼は人工知能の中にゴーレムの様な物を作り出す為のプログラムを組み込んだ。


「愚かな者どもは殺してしまっても構わない。だが、自分が一緒にいて面白い人間に付いていくことはオススメだ。私にも後者の様な人間がいれば良かったのにな……残念な事にいなかった訳だ……。だが、お前は見つけられるだろうさ…。」


自分勝手な言い分を残して息絶えた彼を見て、ファイズは卑怯者のやる事だなと当時は思っていた。しかし、1000年程で彼の言う一緒にいれば面白いと思える人間が現れたのでまぁよしとするかと思っているのであった。

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