番外編 天界の脅威-3
リザベスの妹分であるゼゼフラントは周りの女性からは硬派の女と認識されている女性である。しかし戦の時に彼女はとにかく大将を討伐するという考えから将軍であるギンガに挑んだ。しかしギンガはゼゼフラントを圧倒し、いつでも殺せるが一応生かしておこうという形だった。
そんな時にゼゼフラントを助けるために駆けつけたという体で急降下キックもとい流星キックで現れたのがタラシ野郎のアーチホインであった。今は亡き彼はまさにトドメを刺されようとしていたゼゼフラントを守るような形で現れた彼にゼゼフラントは惚れてしまったが、この2人を逃がすという事でリザベスが到着した。
その時にリザベスはギンガからなんとも言えない様な事情を聞かされたのだった。……というのはアーチホインが現れた時は別にトドメを刺そうとしていなかった。彼の武器は剣鞭であり、心臓と首の間辺りを狙っており、受ける側は致命傷になる一撃と認識してしまうが別に致命傷とはならない物なのだ。
それだけ聞いてもリザベスはゼゼフラントの未熟さに呆れたのだが、問題はその後に聞いた事情である。ギンガは別にアーチホインの攻撃を脅威に思った事は無い。実際ある事情が無ければギンガは2人まとめて殺せていたのだ。だが………実にくだらない理由でギンガはアーチホインの攻撃を避ける為に引いたのだった。
「………しかし、あの時の足臭天使が意外にアッサリ死んだのは驚きですね。」
「……ホントそうね。まさか貴方みたいな大将軍を足の臭さで引かせたなんて事が驚きよね。」
そう、アーチホインは戦で女性天使をたらし込む目的で動き回っていた結果、足の蒸れは尋常では無くなっていた。当然、それに比例して当時のアーチホインの足の臭さも尋常では無く、血の臭いが鼻の近くで充満していた為に嗅覚が麻痺していたゼゼフラントはなんとも思っていなかったが、ギンガはその臭さから手を覆いたくなるレベルだったらしい。そして自分の愛剣鞭にその臭いを付けたくなかったので見逃したのである。
ちなみにアーチホインがたらし込みに成功するのは対象の天使達が何らかの理由で嗅覚が麻痺しており、その後恋は盲目とばかりに嗅覚も麻痺したままとなるのだ。その事にギンガとリザベスはため息を付きながらも安堵するのだった。
「まぁ、これでもう犠牲者はいなくなるのは良いことだな。今でこそ臭いは落ち着いているが奴が来ると【洗浄結晶】に魔力を与えなければならないほどだからな。」
「そうね………。」
2人でアーチホインが消滅した事で良かったなぁというおだやかな雰囲気ではあったが、本来の目的を果たすためにリザベスは別室に移動してサラシをよりキツく巻始めるのであった。