この世界の脅威について-3
「しかし美華家ってそれだけ酷い事をしてきたって印象が低いのはなんでだろうね?」
「そりゃ表立っていた時期が長かったからだな。あの糞親父が妻の実家を守ろうと必死になっていると……それが世間の反応だ。実際、売上は増えていたからこそ世間一般ではそれで良しとされていただろうが、現実的に見ればダメダメな方法しかとっていなかった。」
そりゃあ人件費をガッツリ下げるしメイド達も不等に解雇しようとするし、ゆっくりと出すべき品物をドカドカと出していけば僅か数年で立て直しが出来なくなるくらいだ。多分そうならなかったのはセバス達の様な優秀な使用人達が私が一度元黒華鉄邸兼美華邸に戻ってくる事を予想してやってくるのを待っていたからだろう。
「……まぁ、あくまで家が潰れないように色々と補填していただけでアイツ等は気付いていなかったらしいしな。実際2年後くらいには経営難どころの騒ぎじゃ無くなっている感じか。」
「それだけセバスさんは凄い人だったのね……。でも敵に回る事は無いわよね?」
「そう思いたいな。少なくともこの世界に来た時点で裏切るつもりは無いだろうが……操られたりしたら物凄く闘いづらい相手になりそうだ。」
まぁ、基本的に洗脳には掛からないだろうとは思う。……実際黒姫の催眠も効果無しだったし。……まぁ、それでも若返ってしまった分弱くなってしまったと嘆いているセバスを見ていると、今=最盛期となる様に鍛えているのか?と感じてしまうのだった。
「そういえば、この先私達転生者側で敵対する事ってあるのかしら?その……前世がある人じゃ無くて生徒側でなんだけど。」
「……戦争面とかでは無さそうだな。大橋が私に憤慨していたが、その勢力がどれだけ残っているかによるな。」
「……最近色々あったから敵対する気は無くなってそうね。オークションの時も罵声とか来なかったし。」
「……だが、まだ擬似的な戦争が始まる火種はある。」
そう言いながら私はテキトーなアイテムをオークションへと流してみた。まぁ、簡単に言えば冷凍食品である。それも私の所で出過ぎてしまい中々消費出来ずにいるカルビクッパやビビンバ、プルコギ丼というセットをそっと出品する。
すると即座に競りが始まっていく。その様子はまるでバトルロワイヤルの様で有り、大橋は呆れていた。まぁ、戦争の火種になりそうだった3組の連中や魔王討伐派の教師達が既に死んでいる事も既に把握している為か、少しだけ微笑みながら平和だと実感しているのだった。