番外編 旧ゲーテンベルド王国-3
グラノアはフラウスの菊門にある物を詰め始めた。それは彼の息子である王子達の眼球だった。その瞳にはまだ意思のある眼球もあり、自分の父親の中を延々と見せられる事を強く拒絶していた。しかしグラノアはそんな眼球の願いなどを無視して眼球を詰め込んだ。フラウスは自分の中に異物がある感触、自分の中を見られている感触、自分の中で何かが蠢いているような感触から、早く拷問が終われと願っていた。
「………さて、次は鞭ですね……。」
グラノアはフラウスの実の子供達が持っていた鞭を持ち、そのままフラウスの両腕を叩き始めた。だが、その衝撃は彼が王妃とプレイとして楽しんでいた様な程のお手軽な痛みでは無い。グラノアが加減してわざと肉体が飛び散らないようにしているだけで、実際は腕が破裂する程の威力の鞭であった。一応、彼の腕に傷は付いている。だがそれはあくまでほんの数ミリ皮膚が削られているだけであって、この先自分の両腕が骨になるまでこの殴打は止まらないと感じたフラウスなのだった。
だが、彼は段々と違和感を感じていた。自分は【王魂の林檎】という物を食べて不死身になったはずだと。そして魂が繋ぎ止められているものの、仮に死ねば自分の身体は大樹となる筈だと思っていた。だが、それは間違いであった。彼は赤子の頃、【王魂の林檎】の粒に触れた後、その指を舐めた事から王になれたと信じていた。だが、【王魂の林檎】の粒だけでは王になる事など出来ないのだ。
それに加えて、グラノアは【王魂の林檎】を半分程、貪るように食い尽くした。その為本来ならば彼女に傷跡は残らない筈だった。なんせ【王魂の林檎】は全ての傷を癒す物なのだから。だが、そうならなかったのは彼女がフラウスに込めた怨みが強すぎたからである。偽善だらけの王国がただただ憎かったのである。
「………もうそろそろ終わりで良いでしょうか………。あぁ、忘れていました。足にはこれを付けておきましょうか。」
フラシアは足の裏に剣山を大量に刺された後、その剣山にある魔方陣を書かれた。その魔方陣には痛みの増強の効果と熱量を上げる効果があり、彼は死んでもなお、上がり続ける鉄の熱さの痛みと剣山に貫かれている痛みを味わう事となった。唯一彼の足のみは何もされなかった様に見えたが、氷漬けにされ魂のまま彼は苦しみの中を生き続ける事となった。それを確認したグラノアは彼の身体と魂のリンクを切り離して彼に二度と逃げ出せない地獄へと送るのだった。
その様子を見ていた他の者達は苦笑いを浮かべながら、ニッコリと満足する彼女を仲間として迎えるのであった。