トルヤード王国の危機-1
「………という事なんです。」
トルヤード王国の城壁がかろうじて見えるくらいの距離にまで近付いた頃、ドラゴン少女は怯えながらそう話していた。……ただ、トルヤード王国がピンチな事は確かに伝わったのだが……完全に映画版ハピピュアのCM的な内容だった。ここで面倒なのは従来のハピピュアシリーズもオールスター枠として出てきそうな点だ。
「……まぁ、コイツ等を置いていけるようになりそうだから問題ないとしてもだ……殺すのでは無く浄化なのがなぁ……。」
「そうですね。私達は殺す事は簡単にできても浄化は苦手ですからね……。」
ドラゴンから聞いた話だと今回悪さしているのは元々は国の良心だがとある大臣に操られているという事だ。それで国民の半数も操られている。……つまりハピピュア達の必殺技で浄化するしか助ける方法が無いのだ。
「……元々トルヤード王国は妖精と人間のハーフと悪魔と人間のハーフが仲良く暮らしていた国なんですが……とある悪魔がこの事に不満を抱き、共存派の悪魔ハーフ達を駆逐差仕様としていました。そこで国の守り神である私が助けを求めに来たのですが…。」
「……いや、それならなるべくファンシーな見た目のドラゴンで来てくれ。某狩りゲーよろしくリアルなドラゴンだと攻撃もしたくなる。……まぁ、次の目的地だったからこのまま進むが……私達は加勢しない。あくまでハピピュアだけで解決してくれ。」
私達がそう言うとハピピュア達は頷いていた。……が、私としてはドラゴンを【鑑帝】で見た時に見えた〖ハピピュアオールスターX8 優しい悪魔とドキドキパラダイス!〗という題名から嫌な事を考えてしまう。……下手するとコイツ等顕現した瞬間にこのイベントも顕現してしまったのでは?とつい勘ぐってしまう。
「つーかX8って絶対に108って事だろ。どれだけ大量のハピピュアが出てくるんだよ……。」
仮に一作品に2人という縛りがあっても216人だ。いや、この108が合計人数かもしれないという淡い期待もあるが……多分そうでは無いことは分かっている。まぁ、私達は殆ど見物するだけなので気にしないでいようと思えてきた。
「あっ、もう少しでトルヤード王国に着きますね……。じゃあ皆さんそろそろ変身の準備を!!」
「分かりました!」
誰が言ったのか判別できない分かりましたの声が響いた直後、彼女達はトルヤード王国の城壁を飛び跳ねるように登り切った後、デザインが雑すぎる敵キャラに向かって攻撃を始めたのであった。……ちなみにドラゴンは変身直後に自力で城壁を昇ったハピピュア達を呆然とみながら、馬車の中でゴロンと寝転んでしまうのであった。