王都観光終了のお知らせ-3
ミンティーア王国の王都から出て数時間後……リガが起きたので私達はいくつか質問をしてみた。しかしリガは言葉は理解しているものの、分からないとしか答えない。その様子からアルはリガが作られてからあまり時間が経っていないと推測したのだった。
「精神年齢=年齢では無いですけど……何も答えられないのは記憶が頭に染み渡っていない事ですから……。」
「しかし覇王剣と呼ばれている程の威圧感は無いな……。」
私がそう言うとリガは怯えて身を縮ませていた。別に睨んだわけでは無いのだが……と思いながら様子を見てみると、リガは怖いと静かに呟いていてた。その声は年相応の女児ボイスであり、私達はリガが女性であるという事も理解したのである。
「………で、このリガについてだが……鍛えるか鍛えないか、どちらの方針で行くんだ?流石にこの体形の奴に私達並の特訓をさせるつもりは無いが……。」
「今はまだ鍛えなくても良いのでは?強くなりすぎると別の所から目を付けられますよ?」
「それもそうか。なら代わりに保護者の2人が強くならなければならないだろうな……。」
私がそう言うと呉実が燃え上がっていた。……東曰く、昔の呉実に戻ったような………という雰囲気らしい。まぁ、元々熱くなりやすい人間らしい呉実はリガを守るという使命というか義務が出来たことでこれまで自分の手で捕まえようとした犯人が巡査時代に別の人間に呆気なく逮捕された事による燃え尽き症候群……バーンアウト状態から立ち直る切っ掛けになったらしい。
「ただ、口調はいつもと変わりませんけどね……。もう何年もあの口調なので戻すに戻せないのでしょうけど。」
「……その辺りは残念だが……燃え上がって暴走しないように見張っておいてくれよ?あんなのが暴走すると私達では手を出せないほどの事をしでかすからな。」
私がそう言った後にリガをもう一度確認すると、彼女の武器としての姿は不明なままだった。……アル曰く、幼い頃にギリギリの力で擬人化してしまうと魔力のバランス等が起こり武器に戻れない状態になるらしい。……あくまで状態と言い切っている為、リガはいずれ武器の姿に戻るだろうが……あの2人はどんな反応をするのだろうか?と感じてしまうのだった。
「……で、次の目的地はどうするかな……?」
「ここは無難にまっすぐ行けば辿り着くトルヤード王国で良いんじゃないですか?少なくともこのミンティーア王国よりはマシな国だと思いますよ。」
ランタンの鶴の一声により次の目的地が決まった事から私達はトルヤード王国へ向けて出発するのだった。まさかその国でこの国以上の波乱が待ち受けているとは思っていなかったけどね……。




