警察達のこれから-3
それから数日が経過した頃に祭の娘である美沙と鷹本の妹である優寿菜がこちらに転移し、その数日後に大矢の婚約者である紙辻 綾子が転移してきた。最初は荷物だけをまとめるつもりだったらしいが鷹本からの助言で高校の退学届や貯金通帳の凍結などの作業に時間が掛かっていた。大矢の婚約者もいきなり辞める訳にはいかず、仕事の引き継ぎ等を済ませていたらしい。
ただ、婚約者の失踪で色々と面倒な事があったらしい。婚約者がいなくなった事で悲しんでいる所を狙い不倫関係を持ち込もうとしてきた上司やら金持ち風のキザな男に言い寄られて股間を蹴り上げて再起不能にしたという事件や、婚約者である大矢がいなくなった事から親にお見合いを勧められたりとか……そんな苦労をしてきたらしい。………なんかそこまでしたのに何も無しという訳にもいかないため私は大矢と紙辻から希望を聞いて結婚指輪を作成し、エバス達によりそれなりの規模の結婚式が行われた。いや、まぁ友人とかを招待できないので誓いのキスと指輪交換くらいしかやってない。
「……私の時の様に呼びださないという事で見せたらどうなのでしょうか?」というセバスの提案によりスマホを何台か使って急遽親への手紙等のスピーチが入った。ただ本物の魔法で作られたセットでの結婚式を見て彼等の親友達はそちらで暮らしたいと言っていたが……この世界にあちらの世界の人間を大量に呼びだす事はしたくないので諦めて貰った。………なんせ大矢は巻きこんでしまった為ここにいるわけで、紙辻はそのお詫びの為に呼びだしたのだしね……。
「…………そういえばウェディングドレスとかは誰が作ったんだ?」
「それは紙辻が持ってきた奴をこの世界の素材を使ってエバスがアレンジした奴だな。まぁ、レンタルじゃ無くて専門店で買っていたのが良かったんだろうな……。1から作るとなると難しいだろうよ。」
「そういう事か……。ただ、気楽に異世界転移できるなんて話は向こうで広めないで貰いたいな……。何人かこちらに呼んでいるがあくまで私達転生者組の関係者以外は呼んで無いんだぞ……。」
実際、私達の誰もが知らない人間をこちらに来させたのはローブを転移させるときに着いてきてしまった警察達くらいだ。
「……取り敢えず2人の結婚式も終わった訳だし本来ならそろそろ旅に戻っても良い頃なんだがなぁ……。」
私はそう言いながら目の下に隈のあるエバスを見る。ちなみにまだ扇城は帰ってきていない。ラピにスマホで話を聞くと未だに甘えているみたいだ。なので面倒だがエバスのスマホに転送機能のあるアプリをインストールした後、扇城を半ば無理矢理エグランシーバへと戻すのだった。