リューミケル軍帝国最終戦-3
アスラが死んだ事で身体が軽くなり自由に動けるようになった私と扇城は身体が変化していくセバスに向かって走った。ただ死ぬわけでは無いがこの状況だとセバスの状態はかなり危ない状態と認識してしまうのだった。
「セバス!なんで最後に無茶したんだ!」
「これこそ執事の勤めでございます故……。それに、ここからば私の出る幕ではございませんからなぁ……。」
セバスはそう言いながら呪いの影響で若返っていた。だがそんなセバスの指さす先にはうめき声を上げながら何かしらの大樹へと姿を変えようとしているアスラの身体だった。なぜこうなっているのかは分からないが、アレは早めに切り落とさなければならない木なのだろうと私と扇城はセバスを安全な場所へと避難した事を確認してから元アスラだった物と対峙するのだった。
ただ元アスラは鉄球を自分の周りに落とし、約30メートル程の底が見えない溝を作り出していた。接近できれば良いと思うが、流石にこの状態で接近戦に持ち込める訳が無いと思いながら、一応死人は出ていない事を確認するのだった。
【虐王アスラの王呪樹】
・価値 プライスレス
・他国を虐げる事を行ってきたアスラの成れの果て。【王魂の林檎】を持たぬ者に討ち取られた事から力が暴走して現在に至る。枝や幹をあらゆる兵器に替えて攻撃していく。害悪モンスター扱いの為、見かけたら早めに切り落として消滅させる事をオススメする。普通の鋸、鉈、チェーンソーではボッキリ折れてしまう為、自前の武器を使うことを推奨する。
「………【殺戮帝】【コルトペーサ】」
私は取り敢えず樵の神であるマルチェントが使っていたという斧を【殺戮帝】で産み出し手に持ち、そのままぶん投げてみる。すると元アスラの枝の一部がドリルに変化して【コルトペーサ】を無残な姿に打ち砕いていた。伝承ではマルチェントがコルトペーサを使い恋人の仇を人に斬りかかった時、コルトペーサが粉々に砕けたという話が残っている。これは木以外の物を斬ろうとした時に粉々に砕けてしまうというなんとも不名誉な逸話が残っている。
ただドリルは反則だろ……と思いながら私は【殺戮帝】で次々と武器を放つがマシンガンだったりローラーだったり、金槌や大鎌で粉々にされていくそれを見てあの大樹を斬り倒す事が出来るのか?と不安になってしまっていた。
「……まだ諦めるには早いねぇ。」
扇城もそう言っているが、流石に私達2人だけではこの状況を打破する事は難しいと感じている。なので私達は防衛する事を意識して元アスラの木と向き合うのだった。