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イキシマ旧砦-4

ランルドロスは告白どころか話しかけてすらいない恋人候補を獣人亜人に取られたからという理由で村を次々と滅ぼすようになるという程感情の揺れ幅の大きい人間だった。ただ、彼は魔法に関する功績から【王魂の林檎】の欠片を食す事を認められ力を得た経歴を持つものの、彼にとってはあまりに大きなプライドを保つ事でどうにか【王魂の林檎】の持つ力の暴走を抑える事しか出来なかった。


その為部下である兵士に自分の思想について言及された時くらいならば兵士を殺すだけでプライドを保てるレベルの精神まで成長せざるを得なかった。ただ彼は自分が憎い獣人亜人の村を次々と滅ぼせる事から自分は強いと自負していた。それはあながち間違ってはいなかったが………村を滅ぼす力が無効にされた時、彼は弱体化した。それはもう、現代ならばネットで流行るレベルで弱くなった。実際同じ言葉で別の魔法を出せても威力を大きくする訳では無いのだ。


だがそれでも彼のプライドは醜く揺れ動いた。2対1で負ける前に村という多対一の闘いで圧勝してきた彼には、たった25年しか生きていない若造2人に【王魂の林檎】の力を得た自分が、相手に何のダメージも与えられないまま倒される事、それもトドメを刺されずに倒される事はあまりにも屈辱的で、プライドを保てなかった。情けを受けてプライドという壁はボロボロに崩れた。その結果、【王魂の林檎】の欠片の力は暴走を始める。それは沿い後の叫びの後に彼が死んだ事と、【王魂の林檎】の欠片が彼の体を取り込んだ事も関係していた。


そもそも【王魂の林檎】を食した人間が普通に死ぬ為にはいくつか条件があった。それは【王魂の林檎】を食した人間が肉体的に殺しに関わっている事だ。つまり対象を掴んでいる者が【王魂の林檎】を食していれば首を切り落としたのが【王魂の林檎】を食していなくとも普通の死体に出来る。しかし、【王魂の林檎】を食していない者が殺した場合、ランルドロスの様に木へと変化する。もっともそれまでの王としての振る舞いから木の種類は変わる。実際心優しき王が配下に自分を殺させて【賢王の優木】と変わったという逸話が神々の中で残っているのだから。


しかしランルドロスは愚と暴の名を受けている上に王ではなく者……つまり王と成り得なかった者だと分かる。ただこの木は瘴気をまき散らす果実を作るとも【鑑定】欄に書かれている為、2人ともこの木を消滅させようと攻撃を始めるのだった。……それがどれだけ無謀で敵わないと知っていたとしても………である。

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