イキシマ旧砦-2
2人はランルドロスの魔法が【炎魔法】と【氷魔法】である事、それを使うことで環境すら変えることが出来ると理解していた。ただ、彼はまだこちらに気付いていない上にひたすら「才能が全てだ!」と叫んでおり、通りすがりの者達が彼をみれば10人中10人が狂っていると答えるだろう。それだけランルドロスは自分の才能にプライドを持ち、自分の掲げる思想は絶対だと思い込んでいた。
「……取り敢えず奇襲攻撃からの連続攻撃で一気に倒しましょう。環境を変える事が出来る魔法使いをそのままにはしておけません。下手するとラミアの2人が行動不能になる。」
「そうですね………じゃあ一気に決めさせて貰います。【落雷】!」
簡素な詠唱で高笑いをするランルドロスの頭上に雷を落としたシューカとそれを見守っていたアルミナはランルドロスの様子を窺った。するとランルドロスは般若の様な顔立ちになっており、2人のいる場所から右に20メートル程離れた場所に杖を向けて魔法を撃つ構えを取った。
「アイン・ツヴァイ・ドライ!!」
この掛け声に合わせて彼の杖の周りに魔方陣が3つ出現し、それが1つにまとまった後、彼の杖の先から巨大な氷塊が撃ち出された。だが、それはシューカの【落雷】によって砕かれてしまい2人の元へ届くことは無かった。
「………アイン・ツヴァイ・ドライ」
掛け声が同じだった為シューカとアルミナも同じ魔法だと思って再び【落雷】を使ったが……今回撃たれたのは氷塊では無く風で作られたいくつもの刃だった。その為【落雷】をすり抜けて2人の元へ進んでいき……アルミナの魔法によって打ち消された。だがその時に派手に動いた為、ランルドロスが2人のいる位置を理解する事となったのだった。
ちなみに、ランルドロスは獣人や亜人の村を積極的に滅ぼす理由が獣人にハーレム候補(妄想)の相手を取られた事というなんとも言えない性格だが、それでも才能の塊で有り『詠唱同一化』という技術を開発している。つまり、彼は同じ言葉で全く違う魔法を使うことが出来るという訳だ。
「………どうやら求婚相手という訳では無いっぽいですね……」
「当たり前ですよ。権力を使っても女性を物に出来ないレベルで狂った人に求婚できる人なんかいませんよ。」
「そうでもないと思いますけどねぇ……。でも貴方達も獣人に着いていくのでしょう?特に先程魔法を打ち消した貴方はね……。」
正確に言うとアルミナは獣人について行っているのでは無く、ケモミミ+尻尾を標準装備にする下着を使っている剣城について行っているだけだ。まぁ、ランルドロスはそれでも許さないと言える程に狂ってしまっているのだけど。