戦の始まりと美華家の終わり
翌日拠点の担当になった者達が移動し終えた午後に敵襲があった。……というのも前世が美華家の者達が沢山いる戦車の群れだったのだけど………、私が【殺戮魔法】を使う前に扇城がダイナマイト付きの弓矢を戦車に向かって撃ち放った事で全滅していた。
ただ、戦車の破片がまるでメッセージを届けるかのような軌道で扇城の所へと飛んできたので私はそれをキャッチして扇城に見せる。すると扇城はため息を付きながら私も見ろとそれを差し出したのだった。
『宣戦布告の為の斥候兵全滅おめでとう。聞いておきたいんですがミハナ家って何処まで高名なのでしょうか?ただの斥候兵なのに喜んで行くくらいですから外から来た人も合わせて使って貰いましたが……これが読まれていることは全滅したんですね、可哀想に……。』
まぁ、確かに全滅しているだろうなぁ……と思う。なんせ砲台の穴から入れられていた弾を貫通し、戦車の中で爆発したのだから逃げる事はほぼ不可能だろうと思う。ただこちらの世界でも美華家の影響があると本気で思っていたのだろうかえらく自分の思うように世界が動くと信じていたんだなぁと思う。あちらの世界でも手に入れた権力を上手く利用しないでボロボロにしているし。例えるなら病気で倒れた勇者の伝説の武器を手に入れて有頂天になったが乱暴に扱ったのですぐにボロボロにして周りからは呆れられている感じだろうか?
「私としては難航しそうな相手が一斉に飛び出してきて死んだ事に驚きだけど……将軍はこの様にはいかないよ。それにこちらにもまた強い刺客が拠点を無視してくるだろうから警戒は怠らないでおくれよ?」
「分かってる。」
「さて………この戦が終わったら母のいる天文台の方へと行ってみるか……。姿形が変わっても私の母である事は変わらないのだしな…。」
いきなり死亡フラグを建てていく扇城だが、その言葉を否定することは出来ない。私の場合はまだ転生してから母を探している期間は1年も経過していないが扇城にとっては転生していると分かっていても25年間会えていないのだから。
「……しかし美華家はチマチマ潰していた感じだけど終わってみると案外アッサリと滅んだな……こちらの世界だけの話だけど。」
実際向こうの世界では糞親父と糞女、その間に産まれた子供達が残っている。スッキリする為にコイツ等をこちらに呼びだして瞬殺する事も考えたのだが、取り敢えず保留にしておこうと思う。ただこの戦中にあちらの世界から人を呼びだす為のアプリを使う事になるとは考えていなかったのであった。