多種族の国エグランシーバ-4
「……さて、スパイは全員棺桶の中にしまってっと……。この地下牢辺りに入れておけば良いよね?一応アレの中は酸素とか心配しなくても良いし。」
「だからと言って全員棺桶の中に入れることはしなくても良かったんじゃあないか?悪趣味に思われるぞ。」
確かにスパイ達を棺桶に入れた後、何段かに重ねて置いたのは悪趣味かも知れない。さらに棺桶の上に墓場を守るというスフィンクスのレプリカを置いて重しにしているのもだ。しかし脱走されても仕方ないのでこの仕様である。大丈夫、ちゃんと息はできるから問題は無いよと思いながら扇城と話すのだった。
「しかしこの国にスパイを紛れ込ませるとは中々やるなと思ったが……【鑑定】の時点でスパイと分かる者ばかりとは呆れて言葉も出ないな……。」
「そうだな。これだけいてプロがいないのはなんとも言えないよ。一応【鑑帝】使って他の住民も見たけどスパイはいなかった。多分新しく来ない限りスパイはいないた思っておいた方が良いと思う。一応保険で【監獄魔法】で蓋しておいたけどここからら脱走されるのも想定しておいてくれよ?」
そう言ってスパイの管理を任せたところ、扇城はニッコリと笑った後に棺桶に空気を入れる装置をいくつか破壊していた。その瞳には曇りが無く、ただ必要だったからこうしたとしか思えない威力だった。
「……剣城よ……お前は甘い。いや、必要な甘さだが……世代が違うのかねぇ。私にはコイツ等は人目に付かない場所で処分した方が良い相手だったよ。恐らく明日からの戦であの国は変わる。そうなればコイツ等は決死の覚悟で私達を殺そうとしてくるだろう。……いや、見せしめに住民達を狙うかも知れない。そう考えてみると国を束ねる者としては処分する必要がある奴は早めに殺しておかないといけないという意識があるんだよ……。」
扇城はそう言った後、本気でスパイしていた者しか殺していないと話した後にこの場を去っていった。……まぁ、その様な甘さがあったから糞親父に黒華鉄を乗っ取られたのだろう。いや、正確には乗っ取り切れてなかったのだが。
「……でも、そうでなければ黒華鉄家は続いていないか……。」
黒華鉄家の経営方法は雇用している者を尊重していくという様な物だが……裏切り者がいるとすぐに破綻してしまう様な経営法だ。なので前世でも扇城は先程やった事に近い事をしてきたのだろう。そう思いながら私は明日の防衛戦の為の準備を始めるのだった。いや、ただ体を休めて眠るだけなんだけどな……。




