戦の兆し-4
「……で、諜報担当の2人組は紹介しなくても良いか。一応今回の戦の原因になっているちゃあなっているんだが…」
「どういう事だ?」
「そもそもの切っ掛けが私達エグランシーバは異種族との共生派である事に対してあちらのリューミケルは異種族駆逐派である事なんだよ。それでラミアの里を滅ぼしてきたが、その生き残りを私達が保護した事から戦を仕掛けてきたわけだ。あの国の宰相の前世は前世で相当動物に狂わされたんだろうがな……。」
一応前世の名前だけが分かっているという事なので大橋に聞いた事があるか尋ねてみると、どうやら海上貿易を種とした会社を経営していた者らしい。しかし悪徳な業者にパンダ等の輸入が制限されている動物をと無理矢理頼まれそれを実行したが、蜥蜴の尻尾切りされて人生が狂ってしまった男らしい。
その為動物を保護する団体を恨みこうして攻撃しようとしているという事だ。ただ、今回の戦では完全に城に閉じこもると宣言しているらしく……黙らせるのが面倒くさい位置にいるらしい。ただ戦闘能力自体はかなり低く、大橋のデコピンで気絶するレベルだという。いや、どれだけ鍛えてないんだと思いながら話を聞いていたのだった。
「エグランシーバの近くにいたラミアは基本的に細工が得意で色々な物を売りに出していたな……。食べる物は人間と同じだからこちらが食される心配も無いんだ。だからこそ、殺される理由も無かったはずなんだがなぁ……。」
まぁ、迫害する理由がなければ駆逐する必要性はあまり感じない。多分その宰相は人間を食べる可能性があるとその根拠を確かめもしないで駆逐していった訳だ。一応人を喰うラミアも別の場所にいるらしいが確かめもしないのはなぁ……。私だってハルバンシア軍帝国の時もちゃんと確かめてから殺していった訳だし。
「ただ、敵国の将軍がどの様に配置されるかが問題なんだよなぁ……。一番面倒になるのは拠点制圧を捨てて一気に攻めてくるという事だ。私の魔法なら歩兵レベルなら普通にどうにかできるけど【王魂の林檎】持ちだと面倒な事になるぞ?」
「そうだろうな……だが、もしあの宰相がいればすぐに殺してくれないか?あれも【王魂の林檎】を囓った物だ。だからこそ弱いのに宰相をやれている。【交渉術】【話術】なんかに全振りなんだよあれは。」
扇城はそう話した後、自分の部屋へと戻っていった。ただ、この国では何か名産なのかは自分で確かめてみると良いという目をしていたのでこれから観光してこいという事なのだろう。そんな訳で私はエグランシーバの観光を行うことにするのだった。