戦の兆し-3
昼食は私が漁村の鰻屋から鰻重などを頼んで出す事になった。まぁ、ガンダレスとジルフェに黒姫も1回食べた事があるし、他の者達もそれを見て食べたいと言ったので全員で鰻パーティーみたいな形で食べることとなった。
「食事中で悪いけど自己紹介させて貰います。私はアルミナさんとペアを組む事になったシューカです。前世では電化製品の生産工場長をしていました……。それが原因なのか【雷魔法】の適性が高かったのでそれを使ってます。」
シューカは黄色の髪を黒のリボンで長めのツインテールにしている女性だった。薄い甲冑を身に纏っており腰には小さめのモーニングスターが装着されていたので戦闘スタイルには大体予想が付いてしまう。
「ラミアの里担当のジナシーファだ。前世はハイロオウル財団の会長をしていたが、今では【鳥獣魔法】で鳥を呼びだして攻撃するスタイルが多いな。一応武器は片手剣を使っている。」
「ジナシーファとペアを組むヒルージュですわ。22歳ですのでこちら側の住民という事になります。能力ではありませんが幼い頃に障呪を掛けられてしまい死なない体にされてしまいましたの。でも私は死ぬ事は大嫌いですのでご注意くださいませ。」
ジナシーファは茶色のつなぎ服と鳥用の足場になるグローブを付けている。ただ、彼の足下で懐いている鳥は鶏であり、グローブが似合いそうになかった。いや、どうせなら前世の財団の名前にある梟的な鳥を懐かせておけよとも思うがまぁ気にしないでおこう。何でもかんでも思い通りになる事は無いし。
ただヒルージュという女性は戦場に行けるのか?と思うほど上品な感じを醸し出す人だった。まぁ、その辺りを異世界で気にしたら負けなのだけど……気になるワードである障呪という物について聞いてみるとヒルージュは普通に答えてくれた。
「障呪というのは生まれつき持っている呪いの事ですわ。そしてどの様なアイテムや魔法であっても取り除けないのが障呪なのです。誰もが障呪を持っているのですが気付くことないくらい軽い物かプラスになる物である事が多いので私の様に目立つことは少ないですの。」
「………本当だな。私の障呪は『巨乳になる事からは逃れられない』になっていやがる。」
そしてこれは万能な回復アイテムである【王魂の林檎】でも消し去る事が出来ないことも同時に判明してしまったので私は意識が遠のきそうになった。……いや、多分【王魂の林檎】で本格的にこの世界の住民になったという事も関係しているのだろうけどね…。