戦の兆し-1
フェクトクスから旅立って1ヶ月程経過した頃、エグランシーバという街に辿り着いていた。門を潜った直後にジルフェと遭遇して問答無用な形で王宮へと連れて行かれたけどね……。
「……という訳なんだけど………協力して貰えないかな?」
「……面倒だが協力させて貰おう。……しかし見慣れた奴も多いんだが……ガンダレスやジルフェはともかく、黒姫までいるなんて……。でもなんか巨乳への妬みが抱擁の中に感じられるんだけど…。」
「……それは仕方ないですね。でもそうしなければ死んでいたらしいので許します。でもこれ以上は胸を小さく出来ませんね……余程ゆっくり削ぎ落とさないと……。」
今回滞在する国、エグランシーバで私達はいきなり王宮へと連れて行かれたがその理由はすぐに分かった。……なんせこの国の王の前世が黒華鉄 扇城だったのだから。
「血縁とはいえ自分にそっくりな子がいるとは思わなかったねぇ……。でもそこまで甘やかせないんだよ。」
「それは分かっているんだけどな……。」
「まぁ、美華っていう家に乗っ取られたのは運が悪かっただけだろうから不問にしておくよ。使用人達も籠絡できない阿呆の集団ならすぐに路頭に迷う事になるだろうしさ。」
「いや、既に2人ほどは三途の川の向こう側で迷っていると思うがな……。1人は私の手で殺したが何も感じないほどの阿呆だったよ。」
その様な世間話を扇城とした後に本題に戻る事となった。……ただこれはかなり面倒な事なのだけど……一応転生者が関わっているので見逃す事が出来ない事案だったので仕方なく対応する事にしたのだ。
「………リューミケル軍帝国がこちらに戦争を仕掛けてきているのだけど、それに対応する者が揃ってなかったんだよね……。こちらは生産特化だから兵役付けてない分戦争には不向きなんだよね……。個対個は得意だけど団体対団体は苦手でさ。だからこちらから精鋭を出して全滅させるのが良いと思ったわけ。」
「……ただ、厄介な奴もいる。」
「ガンダレスから聞いているけど【殺戮魔法】だけでは殺せないレベルの奴が大体将軍になっている。まぁ、あちらの将軍はこの前の戦争で3人死んでいるから微妙に丁度良くなるんだよね……。」
……まぁ、ハルバンシア軍帝国でも【殺戮魔法】を1回だけ防ぎきった奴がいたからなぁ……。ただ、私はある事を聞いて頭が痛くなりそうだった。………今回闘う国の将軍全員が私と同じ様に【王魂の林檎】を食した事があるという情報だ。……これを聞いてかなり面倒な戦争になりそうだと感じてしまうのだった。