魔法でヒーローショー-4
あれから軽く3日経過し、変身アイテムが完成すると同時に天文台の方から高性能な業務用ビデオカメラを送ってもらい撮影が開始されたのだが………。正直言ってやり過ぎたと感じてしまう。
『素晴らしい殺陣でございますなぁ……。特に魔法?を使用した必殺技等のシーンもよく出来ていると思います。……ただ、本来の特撮の良さであるドラマシーンが霞んでしまうのが問題になっていると思われますぞ。』
「そうなんだよなぁ………。元々ヒーローショーで大根でも大丈夫な環境で育った役者しかいないから余計に霞んでしまうのも分かるんだよなぁ……。」
まぁ、普通に役者として育っていてもドラマシーンがアクションシーンで霞む事に代わりは無いので仕方ないのだが、セバスにアドバイスを貰っているとなにやらドンドンとドアから音がした直後、バァン!という音をたてて誰かがやってきた。
『それでは剣城様、来客が来たのでこれにて失礼致します。』
セバスにそう言われた私は話を打ち切るのにも丁度良いタイミングだったので通信を終了させる。……そして私は現在第2話を撮影している現場に目を向ける。……するとそこには最早CGで表現できるを遙かに凌駕した光景があった。
「……これ、同格同士で闘うからまだ大丈夫なんだが……地面も削れてない分かなりよくなってるな……。」
「前回は穴ぼこだらけになりましたから出力を少しだけ落として地面を硬くしましたからね……これで撮影する間は保つと思いますよ?」
オーレンはそう言いながら撮影が順調に進んでいる事を喜んでいるのだが……私は闘っている役者2人の異常な適応能力にため息をついた。前に生きていた世界での特撮は、殺陣と思えない演出をする事が多かった様に感じるが今回はそれの比では無いと思う。
最早ガチでやりあっている様に見えるのにも関わらず、殺陣に忠実に演技を続けている。それに何の違和感も無いので途中で中断される事は無い。……まぁ、あれに着いていくカメラマンも凄いのだけどね……。
「………でもなぁ……本来は遊園地のキャラクターショーのレベルで良かったはずなんだよな……。これからこの町の子供達はどれだけのクオリティを出してくるようになるんだろうな……。」
ただ、ここまでやってしまうともうこれテレビドラマではなくて映画として出した方が速いんじゃないか?と思えた私はそれを提案してみた。しかしオーレン達は「特撮はテレビドラマ版があってこその劇場版だ!」という事で私は楽しめているならそれで良いかと明後日の方向を見ながら考えるのだった。