フェクトクスの遊園地-4
視察を始めて最初に気になったのは準備中と書かれたアトラクションだった。一応稼働可能だがレバーなどの安全装置の確認が何度も行われていた。
「やはり前世の知識は細かい所まで記憶していないと不安が残るので検証は何度も行っているんですよ……。フリーフォールやジェットコースターは初めての客が乗る前に軽く50は失敗してますからね……。」
一応大事故等が起きることは無かったらしいのだけど、検証中にレバーが落下の衝撃で粉々に砕けてしまったりした事もあるらしい。その為レバーには【筋力抑制】等の魔方陣が掛かっているらしい。……まぁ、下手したら乗り物ごと壊しそうだもんなぁ……。
「後メリーゴーランドも色々と苦労しましたけどね……。子供向けの物を外側に、大人向けを内側にしましたのでどうにかなったんですが……。これがきっかけで乗馬をしたいと思える様にって文句を言われたのでかなりリアルに作らされましたよ…。」
「それであれだけ生々しい雰囲気なんですね……。」
「陶器とかじゃなくて本物の鐙とか使ってますからね……。でもこれで乗馬に興味を持つ子供が増えたんですよね……。取引している別の国は名産品の中に馬がありますから……。」
その馬を自警団が結構な数買い取ったのだが下手するといくつか肉としてバラさなければいけない事情ができてしまったらしい。なので子供達が乗馬に興味を持つ事は非常に良い傾向だとオーレンは話すのだった。
「……馬肉か……何匹か買い取ってもいいか?馬肉の美味い調理法なら熟知しているからよぉ……」
「いや駄目ですから!元々騎馬として買い取った訳ですし、何よりあの馬……【リアコットホース】の肉は魔物の駆除に使えるくらいの毒性があり、なによりこの馬の筋肉が発達しすぎてどうやっても人の歯では噛み切る事は出来ません!」
「……そこまで言うなら喰わねぇでおくよ。……しかし本気で喰えない肉なんてあったんだな……。」
テンレは毒入りの肉も食ったことがある様な口ぶりだが、流石にこれは冗談だと思いたくなる。……ただ、メリーゴーランドには今でも客が途絶えないので単純に楽しい物として受け入れられているのだろうとも思えてくる。
「ただ、ここではゲームセンターとかは作れませんでしたね……。よくてあんな感じのゲームくらいです。」
そう言ってオーレンが指さしたのは牧場で見かける鉄製の大きい牛乳瓶の中にボールを投げ入れる物や、大量に並んだ瓶に向けた輪投げ等、大した技術のいらない物ばかりなのであった。