フェクトクスの遊園地-3
「………で、アンタは何をしようとしていたんだ?」
「何もしようとしていないわよ!!ただそのウエストポーチが珍しいデザインだったからよく見たくて……。」
「なら同じデザインのウエストポーチを出そう。これで用は無くなるだろ?」
突撃してきた者は30~40くらいの女性でウエストポーチに狙いを定めていたのでランタンが背後に回り両腕を組み伏せたのだった。そして現在言い訳タイムである。まぁ、段々とボロが出始めているのだけど。
「…何よこれ!そっちのウエストポーチとは大違いじゃない!そっちを寄越しなさいよそっちを!」
「……お前、本当に死にたいのか?これを人にやる訳ねーだろ。それとも買うか?正規料金で。」
「買うわよ!どうせ5000Gぐらいでしょ?」
「………残念だが桁が軽く18くらい足りないな。」
まぁ、軽く京に届くアイテムが非常に多くなってきたのでこのウエストポーチをそのまま売るとなると18桁足りないという言葉も普通に受け入れられるだろうと思う。まぁ、その後さらに「ふざけるな!」と騒いだ事や、元々は悪評を広めるためのスパイだったという事からフェクトクスの外へと吹っ飛ばしておくという処置で終わるのだった。
「……遊園地の悪評を広めておけば人口も減るし他の国から来た者達の金が減ることも無くなるだろうからって理由で悪評を広めていたという感じですか……。」
ただ、そんな事が出来る自分は偶然見つけた大儲けのチャンスを無駄にはしないわ!!とウエストポーチに目を付けたのだろう。ただテンレ曰く、テンレの持つ大太刀も同時に欲しがっている様な副音声が聞こえたらしい。いや、どれだけ強欲だったんだあの女は……と感じる。
「……一応前世のネット掲示板の様にマナーの悪い客が来ないように色々と対策していたんですが……申し訳ないです………」
「気にするな。しかしこれだとこの町の住民でも似たような事をする奴がいそうに思えるんだよな……。」
まぁ、先程吹っ飛ばした女性は実は転生者であり名前は美華 茉莉鈴。あの糞親父の曾祖母であり、糞ババアを教育した者だ。なので自分が世界の中心であると信じていたらしい……。
ただ、30~40に見えたのは転生した時に偶然貰えたという【淑女の加護】の効果らしい……というのもこのスキル、人々に良い人だと思われる事で老いが減速するというスキルなのだが、卑しい人間に育ってしまうと逆に老いが加速してしまうのだ。まぁ、老けて見えたのはつまりそういう事ですと思いながら私はフェクトクスの視察へと戻るのだった。