バベルの塔に憧れて-2
「つーかこの調子だといつまで経っても宇宙に届かないんじゃ無いか?」
私がそう言うと図星でも疲れたかのようにシェケラの顔色が悪くなった。まぁ、シェケラはこれでも大丈夫だもんと言っていた。まぁ、転移する事が可能なのでわざわざ降りてからまた昇ってという交代をしなくても効率は良いのだろうが。
「一応【クリエイトロック】ってスキルで岩を繋げてるからあそこまで精密に出来るんだよね……。もう少し魔力操作ができれば方向転換に掛かる時間も短縮できるんだけど。」
「まぁ、【クリエイトロック】を使っているのはここでは正しいですよ。なんせ魔力を流し続ければより強固な足場になっていきますから。」
「でも魔力操作ができれば自由に操れるビームみたいにグルグルとできるんだけど……。」
例えがアレなのだが本来【クリエイトロック】は魔力で永続的に残る岩を作りだす物で、性質としては既存の【クリエイトロック】で創り出した岩と同化する事と、魔力で操作しない場合は上から下に落ちてくる感じで出てくるという物だ。
その為魔力操作が上手くできないと方向転換とかでかなり時間が掛かってしまうのだ。しかし螺旋階段のようにしておかなければこの星の大きさ的には上まで辿り着くことは無理だろうと思える。ならば縦に積むようにすれば良いのだが……そうすると登れない事や視認できない場所には落とせないという性質も合わさって不可能なのである。
「………魔力操作ならどうにかなるかもしれないがな……。」
そう言いながら私はウエストポーチの中からいくつかのアクセサリーを取り出した。これらは私が自作したアイテムであり、【魔力操作強化】の能力が付いている物ばかりをチョイスしていた。まぁ、4つ程あればローテーションは可能だろうしね。
「……成る程、宝石加工に関しての知識も手に入れているか。扇城の作った奴と比べるとまだまだと感じちゃうけど。」
「まぁ、道具もそこまで本格的じゃ無いからな……。それに今の体に慣れてないんだよ。胸を催眠術でどうにかしてたのにこの世界で死にかけた時の蘇生アイテムで解かれてこんな感じになったんだぞ?」
実際まだ胸にできた二つの山に慣れておらず精密作業が難しくなっているのだ。できることなら絶壁だった頃に戻りたいと感じながらも私は扇城の作品を見てみたいと感じるのだった。ただ、なぜ自分を引き合いに出さないのかとシェケラの方を見ると、シェケラが「私はこれにすら及ばないんだよなぁ……」と落ち込みながら呟いているのであった。