天錬組と黒華鉄家-3
結果として私はテンレに2勝3敗で負けた。……まぁ、初代は普通の格闘ゲームというか、2からの〖覇拳s〗ともシステムが違うと言われていたから仕方ないのだが……。
「………アルトの攻撃は基本的に大振りになる事が多いからのぉ…。これなら厳の白刃取りカウンターを上手く使うことが出来る訳じゃ。この〖覇拳s〗での相性は最高だからのぉ……。最も、2連敗の後に全く別の戦法にしてきたのは驚いたがの。」
「そうしないと勝てなかったんだよ。アルトには白刃取りカウンターの不可能なムーブ攻撃があったわけだし。」
白刃取りカウンターというのは相手の攻撃の先端部分に触れるくらいの位置でガードする事で発動できるカウンター技の一つであり厳の特殊能力だ。これを成功させるとダウン取られてダメージも受けるので先端を測りやすいアルトでは相性は悪かったのだ。
だが、白刃取りカウンターもムーブ攻撃という弱点がある。ムーブ攻撃は簡単に言えば格ゲーによくあるキャラの向きを入れ替えるタイプの技で白刃取りカウンターの条件である先端部分が移動する為に白刃取りカウンター殺しと言える程の性能を持っていたのだった。
「……だが、気付くのが遅かったな。せめて2戦目にやってりゃあゲージ切れで負けていたのによぉ……。」
「……それについてはそちらの超必殺が普通のカウンターなのが問題なんだろうが……。とゆーか初代からなんでそんなキャラがプレイアブルなんだよ……。ゲージもラウンド毎にリセットされないし。」
実際私がムーブ攻撃を駆使して2戦勝利していたのだが、超必殺技ゲージはダメージを与える事や受ける事で増えていくタイプの為、4戦分のゲージを溜め込んでいたテンレは最終戦で即死系の超必殺技を使用したのである。……で、私はあっさりと敗北した訳でして……。
「………まぁ、私の持っていた鯨肉に目を付けていきなり勝負を仕掛けてくるとは思わなかったんだがな……。しかも余裕で正気を保っているし。」
「別に失神するほどは心酔してねぇよ。ただこの肉が美味いのは分かるな。もっとねぇのか?」
「残念ながら在庫はもう無いね。それに取りに行くにもイートレスト・エルズは何処にいるか、そもそも倒せるのかも分からないし。」
一応内部から攻撃すれば倒せるのだが、テンレはそんな面倒な事はしないタイプの人間だろうと思える。……まぁ、本当に何処に生息しているかは知らないしね……と思いながら私はテンレと供に天文台のある場所へと向かい始める事にしたのだった。