たまぼっちと終わらない旅-3
「……まさか、箱庭妖精に遭遇するとは思いませんでしたね…」
ラピが何度目なのか分からない言葉を言い放った。彼女の言う箱庭妖精とはこの真っ白な空間の主であり、ある意味【空間魔法】だけがカンストしたモンスターであり、現在逃亡中のモンスターである。……いや、見つければ楽々倒せるのだが…この数週間の間逃げられ続けている。
「まぁ、あの箱庭妖精がまともに闘えるのって大橋くらいだったからな……怖じ気づくのは仕方ない。だが逃げることは無かっただろ?おかげで旅が一向に進まなくなっている訳だしさ。」
私がそう言うと他のメンバーも頷いていた。まぁ普通に考えれば逃げれば良いのだが、箱庭妖精が馬鹿なのか……箱庭を解除しなかったのだ。その性で私達はアレを殺すという事になっている。しかし一向に見つからないので馬車を走らせながら暇を潰しているのだ。ただ、面倒な事に外の世界とこちらの箱庭の経過時間は同じらしく、早急に箱庭妖精を見つけないと大変面倒な事になるのである。
「……全面に殺戮魔法ぶっ放しても効果は無いし誰かに取り憑いている訳でも無ければ馬車の下に逃げていた事も無いとなるとかなり面倒なモンスターなんだよね……。ゲームなら確実に鬼畜仕様か没ネタと言われるだろうし。」
「……仕方ないからもう少し待つか……。ガチャがあれば飢えで死ぬ事も無い訳だしさ。」
私がそう言っても殺されたくないのか箱庭妖精は姿を現さない。段々と面倒になってきたがこの空間では追尾機能も禄に働かないようにいじくられているためにやれる事が無かった。
「……別に移動しようと思えば移動できるが……面倒な事になりそうなんだよなぁ……。一番まともなのはガンダレスのいる場所へと転送する事だが……私以外はガンダレスと接触すると面倒な事になりそうなんだよなぁ……。」
「……あぁ、大橋は2人同時に攻撃されそうだからな。まぁ、もう少し箱庭妖精を探すことにしよう……。」
そう言いながらたまぼっちに集中する2人や料理研究を続けるカグヤ達を観察しながら、私は白い空間を進んでいく。ただ、真っ白な空間もそろそろ限界が近いのかもうそろそろ終点まで着くだろう……。その時が多分箱庭妖精の最後だと思いながら私は馬車を走らせるのだった。
ただこの時に失敗していたのは遊び道具を放り投げておけば自然とやってくるという箱庭妖精独自の習性を私達がど忘れしていた事だろう……いや、本当にそれをやっておけば何週間も経過しなかったのにな………。




