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番外編 月は氷の惑星でした-6

あれから1週間程経過し天体望遠鏡はグレードアップに成功しさらに遠くの星を見ることに成功した。ただ、月に至っては地形がより細かく分かるようになっただけで、劇的な変化は無かった。


「でもこれで色々な星が見える様になった訳だけど……未だにこの星の姿を見れないんだよね……。まぁ、それは宇宙飛行士達の仕事なんだけどさ。」

「そうじゃのぉ……。じゃがこれを月面で再現するのは難しいと思うぞ?【天視】にエネルギー変換器で作る魔力を大量に消費する分寒さへの対抗が難しいんじゃ。」

「だけど成功できればさらに遠くの星を見られるようになる。【天視】でも見られないような所までな……。」


機能を簡略化する事で地球の衛星である月ならば実現可能レベルまで完成していたのだが、こちらの世界の月は絶対零度に近い環境の為に改善案を出さなければならなかった。人工太陽で月の気温を上げる案も出ているが未だに調整が終わらない為にすぐには実行出来ないだろう。


「………モンスター素材で使える物もまだ手に入っていないからな……。最悪布を被せて冷気を遮断出来る様な物が出来れば良いんだが……。」

「難しいだろうな。魔物の素材で無くとも限界はあるし……あの氷自体が魔力の塊になりつつもあるから素材に取っては絶対零度並の魔力で攻撃されるのと同じになるだろうね。」


その為モンスター素材による魔力からの障壁での回避は無理だという事らしい。まぁ、それを回避するために奮闘しているのが現状なのだが。


「やはり奇跡を待つしか無いのでしょうか……。」

「それが正しい判断になるかもしれないよなぁ……。」


だが、彼等はそんな弱音を吐きながらも諦める事はなく試行錯誤を続けた。だが絶対零度の衛星へと向かう為の最善策はロケットや基地の開発同様中々進まないのだった。それでも彼等が諦めないのはやはり、宇宙への思いが強いからなのだろう。


「……とりあえず新しく見つけた星についてメモしておこうかな。ただ、この世界では太陽の周りを回っているけど他に惑星が無いんだよなぁ……。月の後には火星がかなり遠くなりそうだよ……。」

「……そうだろうな……。」


実際太陽系と呼ばれる惑星と供に過ごしてきた彼等にとってこの変化は衝撃的だった。その為に彼等は月の後の目標となる着陸可能な惑星はどこかに無いかと延々と探す事になる。まぁ、暫くしたら月面での天体望遠鏡の設置に忙しくなるのだろうけど。まぁ、これはまた別の物語。進展があればまた別の機会に語ることにしよう。


取り敢えず次回から本編に戻ります。

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