番外編 月は氷の惑星でした-3
コスモスーツ……もといロボアニメの機体は攻撃性能がかなり優れており地上や空中ならば既に稼働可能なレベルにまで達している。まぁ、見た目は作成者それぞれの味が出ているが、動かすことに関しては何の問題も無い。
しかしコスモスーツは戦闘にも多くのエネルギーを使用する為、下手するとエネルギーが切れるのが異常に早くなる事も多くなるし、現在はよくある飛行形態へと変形するまでの技術まで達していない為にスピードもあまり出すことが出来ない。
それに加え武装に拘っている為に備蓄は最小限に抑えられている。例えるなら一人暮らし用のアパートや安めのホテルでよく見かける小さな正方形の冷蔵庫レベルだ。その為コスモスーツのみでの長期滞在はほぼ不可能と言っても良いだろう。
「……まぁ、その内ロボアニメみたいな事にはなるだろうな。戦艦やらコスモスーツ等が普通に活動するような形で……。」
「でもこれも当分先ですね。今は寒さ対策やエネルギーの問題に結界の問題も解決しないと……。」
解決する手立てが一向に見つからないが仲間も増えており着実に一歩ずつ進んでいる事に安堵はしている物の、どうしても大きな一歩が欲しいと思っている彼等はサンプルの入手が出来る事を祈りながら他に出来ることは無いかと考え始めた。
「……で、これですか?まぁ、実験も兼ねているので丁度良いかもしれませんが……。」
「そうだろうな。だが銭湯……それもサウナ付きはこちらの世界では珍しいらしいからな……。天文台の方も合わせてかなり人が来るようになっている分、資金も稼げるな。」
結果的に彼等は資金稼ぎの為に銭湯を作り上げた。これはエネルギー変換器と魔方陣の簡易版を使いお湯を出したりだとかサウナとして成立するように熱を放出する等、これから先宇宙船等で使うであろう機能が実験という形で使用されていた。
最初は天文台に興味を示していた比較的近い町民から始まったが銭湯の話から王族や騎士団がこちらに来ており作成方法についての研修を受けて満足そうに帰って行った事も関係してかなりの資金を得ることが出来たのだった。
「しかし王族が来たときはかなり驚いたな……。」
「いや、それより驚いたのは天文台の研究用のメンバーとして第2王女とか隠居していた現国王の父親が加わった事ですよ……。一応転生者では無い事は確認済みですがこのまま置いて帰られてメンバーになるとは思いませんでしたよ……。それも2人とも違う国出身ですし。」
急に胃の中がキリキリする様な痛みに襲われた彼等は、それでもこの世界で宇宙を目指したい人が増えてきているのだと喜んでもいた。まぁ、現在の最先端は天文台なのが彼等にとってまだ不安な事なのだけど。