番外編 この星の大きさについての考察-1
正直言ってこの異世界は広い。いや、地球の面積と比べると10倍以上は軽くある。いや、下手をすると100倍にも近くなるのだ。その為、必要なエネルギー量も当然多くなる。その為彼等が投入した『地球で月を目指した時の燃料(ワープ付き)』では宇宙空間に出るだけで終わってしまったのだ。
「………明らかにエネルギー不足だったのは分かるがエネルギータンクは結構な重量だからな……。有人では実験出来ないから余計に厳しくなっているな……。」
「ワープ使って勢いをそのままにしているからエネルギーは無駄になってないけどこのままじゃあ有人ロケットを打ち上げることも出来ないだろうな……。爆発する瞬間が分からないから『転移』を頼る訳にもいかん。」
一応〖人間もどき〗というアイテムは作成できている為乗せても良いのだが、これは安定して宇宙空間へといけるようになった時に人体にどの様な影響が出るかという為に使う人形の為、転移関連の実験は生身の人間が行わなければならないのだ。それを考えると彼等は停滞期を乗り越える事は出来なかった。
「エネルギー不足ならエネルギーを生み出せるような形にすれば良いのでは無いか?」という意見も確かにあるが、これに関してはまだ実験の域を出ていない。エネルギー発生装置の小型化が出来ておらず、効率も悪いため改良中なのだ。まぁ、どちらにしろ酸素を作り出すアイテムを作らなければいけなかった為、作成を躊躇う事は無かったのだが。
「一応人を乗せるロケットの構造や通信技術の向上等はどうにかなっているんだがな……。遠隔操作できるロボットで基地を作らないといけないし、この世界の宇宙では人体にどの様な影響が起きるか分からないからな……。」
「そうなんだよなぁ……。一応前世の世界で使用されていた宇宙服は作成できたけど、これだけで防げるとは思ってないしね……。」
人間もどきと名付けられているアイテムも徐々に人に近付いている為より多くのデータが取れるようになっているのでデータはとりやすいだろうが、それでもこの世界で前世の技術のままで出来るとは思っていなかった。
「出来れば人工衛星をいくつか用意しておきたいがなぁ……。」
「難しいと思いますよ?ロケットすら未だに成功していないんですから……。とりあえず設計図だけは前世の物を掘り出してみますけど。」
だが、未だにロケットのエネルギー問題が解決しない為、彼等は暫くの間ロケットを飛ばさずにエネルギーの問題に集中して取り組む者と、協力者を探す者に別れて行動を開始するのだった。