番外編 異世界で宇宙を目指す者達-1
異世界で宇宙へと行くという事は簡単なのだろうかと思うとそうでも無いような気がする。確かに魔法があったり資源が豊富だったりと実現は比較的簡単そうだ。しかし地球と違い広大な星であれば赤道がどこかも分かりづらい為、エネルギーの効率が悪いのだ。
「……つーか、これ先に魔物が寄らないようにする装置作らないと駄目じゃ無いか?モンスターを貫けても血で重くなったりだとかパーツに血がついてエラーとか起きる訳だし。今は無人ロケットだから良いが……これ有人ロケットだとそろそろマズいからな?」
「そうだよなぁ……。幸い結界展開して爆発しても周囲にパーツまき散らす事は無いにしてもこれは出来ないよな……。撃ち落としたモンスターは金にはなるが素材にならんし赤字になるからな……。」
「でもモンスターのせいで大気圏どころか雲の上にすら届いてない感じっすよ?まぁ、赤ん坊という何も出来ない期間も含めた25年間でここまで出来てる事自体奇跡のような感じですけどね……。」
そう言いながらロケットで貫かれ落下してきたグリフォンの死体を解体している3人は転生者だった。その為見た目は若くとも知識はそれなりにある為に他の7人の転生者と供に宇宙を目指す為に奮闘していたのだ。
「……しかし、グリフォンはそこそこの値段になるから良いんだが……どうしてこうもぶち当たるかなぁ……。」
「そうっすね。しかしナイフを持ってロケットの打ち上げを見るって前世では想像しなかったっすよ。なんすか?ロケットの打ち上げに夢中になっている要人を刺せって事っすか?」
「……そんな話は良いから手を動かせ。さっさと片付けてからまた会議するぞ。……結果はどうであれ、今回の成果は持ち帰らないといけないからな。」
それから5時間ほどで彼等は死体やロケットの残骸を集めた後に拠点へと戻った。するとそこには訓練上がりの風呂から出たばかりの者や、ロケットに関しての資料を書き起こしている者、魔法の効率的な使用について考えている者が集まっていた。
「……今回も失敗だ。……すまんな……またカメラを無駄にしてしまった。」
「しゃーないわ、そんなん。まぁその内カメラも魔法紙と魔方陣使って簡略化するわ。それ使えば宇宙の存在が確認できる訳やからな。少なくとも星はあるんやから確実何やろうけど。」
「しかしこの世界での宇宙がどれだけ脅威か分からないから有人ロケットの開発はまだ出来ないんだよね……。ダミー人形と宇宙服も飛ばさないといけないしさ。」
拠点に彼等彼女等は10年前にこの拠点に集まった者達であり、全員が転生者だ。そして彼等はこの異世界で最も宇宙に近付いている人間でもある。まぁ、他に目指している者がいないという事も関係しているのだが。