番外編 テンレの旅はまだ始まらない
奴隷として女達を買ってから2週間が過ぎた頃、テンレは旅をしようと色々と準備を進めていた。奴隷として働ける様にとスキルを磨いていた彼女達はテンレの考えていたキャンピングカーを完成させようとしていた。
………ハッキリ言って大人数の旅を馬車でやるにはかなり窮屈で有り、雑魚寝もまともに出来ないのだ。しかし孤児院にいた者の中に〖空間魔法〗の使い手がおり、見た目はキャンピングカーその物ではあるが、中は大きな家という様な物が出来上がっていた。
ただ、奴隷として買われた少女達はテンレの男気に近い何かに惹かれていたのは事実だが、この2週間の間に別の意味でも虜にされていた。これは男では無く女として産まれた為起きていた欲求不満であり、それを発散した事でより生き生きとした表情でテンレは旅の準備を進めていた。
「……しかし、未だに旅だてんとは思わんかったな……。肉は買い込んだんじゃが備蓄がまだたらんの……。もう既に奴隷としては解放しているんじゃが離れる事が無いのが安心なのじゃが……。」
「……そう。………でも、そろそろ完成?」
「どうじゃろうな……。一応いらない素材で使い捨てじゃが強力な武器も多く出来ておるし……。」
キャンピングカーの中身も整備されている為既に出発する事は可能で子供体形のテンレでも運転は可能なのだ。だが、出来る限りアレフの国で色々と作っておきたいテンレはミオ達にアイディア表を色々渡していた。
「一人旅ならばこの身一つでも良かったんじゃがな……。じゃがこの人数となるとかなり大変なのじゃ。それにキャンピングカーのコーティングももう少しやっておきたいしのぉ……。」
「………でもこれ以上は難しいと思いますよ?」
「分かっておるが、こればっかりはのぉ……。」
モンスターの一撃を避けられたり防いだりするには充分な程の頑丈さがキャンピングカーにはあるのだが、テンレの斬撃にはあまり強く無かったのだ。その為旅の出発が遅れており、その間にかき氷機やフリーザー、各シロップ等を完成させてかき氷屋の屋台をしたりフライヤー等も作り揚げ物関連の屋台を作り上げていた。
「……まぁ、まだ見ぬ肉を食わんと儂は燃え上がらんのじゃ……。まぁ、こうしてのんびりと金が増えるのを見るのも悪くないかのう。」
「……男子達……皆……羨ましがって……る……。」
「じゃが買う義理は無いからの……。」
冷たい目をしながらテンレ達はキャンピングカーの強化が終わるのを待ちながらのんびりと暮らしているのだった。まぁ、肉の食べ方も色々ある為テンレが飽きることは無かったのが唯一の救いなのだろう。