番外編 奴隷達とのBBQ-2
最初は遠慮がちに食べていた奴隷達だったが、大食いで孤児院を困らせていたヘカートに連れられ少しずつではあるが肉を焼いて食べ始めていた。
「下味に色々使っていたが、普通に焼いても美味いのぉ。」
「そうですね!これは中々のお味ですよ、ご主人様!」
美味しそうに肉を頬張る奴隷達はもはやテンレの友人にしか見えなくなっていた。いや、物凄く安く売られた訳なので奴隷紋を消すのは容易いのだが、彼女達は解放されたとしてもテンレに着いていくことや奴隷紋は消さない事を話していたのだった。
「この奴隷紋って上書きしにくいように出来ていますからね……。奴隷になっていれば隷属魔法を掛けられる事はありません。もっとも契約書無しで通りすがりの者を狙って……というのは不可能らしいですけどね。」
「それはなんでじゃ?」
「契約書が無い場合魔力が異常な程消費されるんですよ……。それに奴隷という物は基本的に恐怖や忠誠心等、隷属魔法を行う者に従わなければならないという意志も必要です。なので悪質な奴隷商は脅迫して弱らせてから強引に契約する事が多いですね。」
………それを聞いてテンレは前世の事を思い出していたがすぐにそれを振り払った。一応自分が解体した組の者達を受け入れた事があったがかなり面倒な事になったという記憶があったのだが、この奴隷達も同じようになってしまうかもしれないと思ったのだろう。
「しかし奴隷から解放されても儂に着いていくとは変わり者よの。てっきりあの孤児院に戻るかと思っておったわ。」
「戻ってまた奴隷になる事はしませんよ。ご主人様はこれまで買いに来た人達の中で一番信用できますから。簡素な名前の私達に苗字をくださいましたしね。」
「いや、役割ごとに変えただけじゃがの……。」
実際、孤児院で名前を付けられたミアからミケまでの者のうち、炊事に関わる者はタルマ、生産に関わる者はケットシー、戦闘に関わる者はエルスという様な名前が追加された。あくまで役割分担を分かりやすくする為という事なのだが名前を与えられた者達は嬉しそうにしているのだった。
「しかしこの世界の肉も下拵えが大事じゃと分かるのぉ……。」
「そうですね……。でもタレなどは考えませんでしたね……。普通に考えて肉は何も付けずに食べるのが普通でしたから。」
そんな感じで次々と肉を消費していきとうとう完食した彼女達は満たされた顔をしていた。しかし、お腹周りにプレゼントとばかりに脂肪をプレゼントされた彼女達は暫くの間カロリーを消費する為に色々と頑張るのだが、それはまた別の話だ。