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番外編 天錬組初代組長の転生-4

市場で肉を調達したテンレは料理が自慢だと噂されているアナグマ亭に泊まり、自分で買った肉を調理して貰ってから貪り付いた。それはもう、宿の皿が全て使われてしまうほどのペースでだ。幸い他に客はいなかったので上手く回せていたが……彼女の小さな体の何処に大量の肉が詰め込まれたのかと思われるくらい、彼女の体形はそのままなのであった。


ただ、彼女はここにある肉が全てでは無い為、別の国にも向かおうと考えていた。だが、もしこの先の国で肉が無かったら……とも考え出した。これまで何度もその関係で苦汁を舐めさせられている為……彼女は葛藤した結果ここに留まる事にした。


「……しかし、この世界では何もやる事が無いのぉ……。」


生前の彼女には肉以外の趣味は無いに等しかった訳ではない。しかしこの世界には存在していない様な物が多かった。詰め将棋の雑誌やらクロスワード、数独の雑誌は当然のごとく売られていない。おまけに娼館も少女の体では門前払いも良いところだ。


鍛冶や戦闘は仕事と意識しているので当然のように趣味にはならない。パチンコやら丁半も別の国に行かなければ存在しないのであれば肉以外の生き甲斐が削れていっているのも無理も無い話だ。


「……む?あそこにあるのは……奴隷市場か。どう見ても孤児院の様にしか見えんがの………。」

「あぁ、嬢ちゃんもそう思うのか?まぁ無理もねぇよ。あそこは奴隷印を付けるか付けないかを最初に選べるタイプの奴隷市だ。元々身寄りの無い子供を集めていたんだが、軽い奴隷ってのは結構食い扶持が稼げるし自立も楽になるからな……。」


アレフ民国での奴隷市は大陸の中で最も奴隷が生き生きしている事で有名なのである。ただ、その奴隷市を見た時彼女はやりたい事の一つを思いついていた。それは………夜…ゲフンゲフン。BBQである。これからずっと一人で暮らそうと考えていた彼女に取って軽い奴隷というのは非常に魅力的だったのだった。


「なぁ、あそこの奴隷の相場はどれくらいかの?」

「一応孤児院の運営費だが……まぁ男なら50万G、女なら20万から40万Gくらいじゃ無いか?まぁ、男の場合は使い捨ての囮として使われるのを防ぐためにこの値段らしいが。」

「どっちみち儂は女しか買わんよ。」


その言葉を聞いてきょとんとしている通りすがりの男を置いてけぼりにして、テンレは奴隷市へと走って行った。彼女は組長時代にも度々組員を連れて庭や山奥でBBQをよくしていた。もっとも、彼女の記憶の中にあるのは男だらけのむさ苦しいBBQだけなのだけど。

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