リューケ共和国からの旅立ち-2
エゲリックは私兵をチラリと見た後、私にアタッシュケースを3つ程投げて寄越してきた。その中にはエゲリックが生前売り出していたカードゲーム『ダロン・サモナーズ』のカードだった。恐らく、この世界で娯楽として売り出していたのだろうと思う。
「肉弾戦では私は確実に負けるだろうからな……代わりにこのカードゲームで勝負をしようではないか!!」
「……凄く面倒なんだが……仕方が無いか……。ただ、イカサマは禁止だからな。」
「分かっているさ。私のデッキにイカサマは必要ないからな。」
まぁ、そんなこんなでダロンでの勝負となり私はカードを『鑑帝』で分析してデッキを作った。ちなみにダロンは80枚から100枚までのカードでデッキを作る事となっているのだが、私はかなり序盤のスターターデッキくらいしか知らないため、『鑑帝』での分析能力から最適なデッキを作り出すしか無かったのだった。
ちなみにダロンの基本的な勝利条件は相手のHPを0にするという感じであり、モンスターを召喚するにはカードを特定のゾーンに置いて認識されるソウルを使うという感じである。しかし最初はシンプルだったルールも新しいカードが出る度に複雑というか無茶苦茶になっているらしい。
「……まぁ、これで大丈夫だろ。早速始めるか……。」
「そうか。ならば始めようか!」
こうしてダロンが始まった。ちなみにHPは30から75までというルールがあり、今回は最大の75となっている。ただ、ここで腕に装着する奴で格好良く宣言すればカッコいいのだろうが……それはまだ開発中らしいのでテーブルの上にカードを並べるという形となったのだった……。
「私の先攻だ!ドロー!そして私は赤と黒の〖ソウル・ペイター〗をソウルゾーンにジートしターンエンドだ。」
「……あぁ、確か多色カードは横にして置くんだっけな……。」
ちなみにジートはダロン内用語で使用済み、アンジートは再生という意味らしい。で、ダロンには赤・青・緑・黄・黒・白・茶・多色という属性が存在しており……属性が揃ったソウルで無いとモンスターは魔法を使うことは出来ない。
「……私のターン、ドロー。私は白属性の〖ソウル・ライフ〗をソウルゾーンへと置き、そのまま白ソウルを使用して〖リターン・オブ・ホワイト〗を発動。デッキから白属性のモンスター1枚を手札に加える。私は〖雪原ウサギ〗を手札に加える。そして〖リターン・オブ・ホワイト〗のもう一つの効果は発動。このカードは使用後ソウルゾーンへとを置く事が出来る。」
「……成る程、白属性統一デッキか……。悪くないデッキだな。だが私の殿堂入りデッキには負けるだろうがな!」
……どうやらエゲリックのデッキはこちらではイカサマでは無いから大丈夫!的なノリで作られたデッキなのだろうと思える。そこまでしてこの馬車を手に入れたいのかと思いながら私は逆転するための要素を集めておくのだった。