前世と今世-2
「まぁ、前世が私達の世界の人間の人数は把握できないんだよな……。あの隕石……メテオ・エンペラー事件の時は普段いないような教師や生徒も集まっていたらしいし。」
「そうですね……。」
「ただ、幽霊も大量に集まっていたとしても確認する方法なんて無いわけだしな……。霊媒師がいるわけでも無いから誰がいるかも分からない。まぁ少なくとも帝学園の関係者が多いのは確かなんだよな……。」
私がそう言うと、大橋や睦月も頷いていた。ただ、どれだけの霊が集まっているのかが本当に分からない。実際祖父や祖母、早くに亡くなった父親などは孫や子供の成長をみたいと思って来ていたのだろう……が、オーカーは幽霊であった時の記憶がかなり曖昧になっているらしい。
「まぁ、こちらの世界で長く生きていたからな……幽霊の時の記憶の殆どが抜け落ちている。だから他に誰がいたか?等の情報は無いな。ただ、卒業生の関係者や教師の関係者の幽霊も集まっていたと思う。……しかしここで疑問に思ったんだが……。」
「なんだオーカー?」
「いや、生き霊がもしいたならばどんな風に転生させられるのかと思ったんだよ。教師や生徒の中には植物状態に近い程病状が悪化している者もいるだろうからな……。」
確かに生き霊に関しては全く考えていなかったな……と思う。まぁ、あの偶然を全て引き込む力を持った隕石ならばやりかねないと思えてくる。ただ、その場合は肉体も死亡するのか?それとも肉体の方は意識の無いまま行き続けるのか?それを考えるとかなり面倒な事になりそうだった。
「生き霊の場合は肉体と魂が切り離されて死亡した事になるからそのままの姿で転生?でもそうなるとすぐ死ぬから何かしらのチートは貰えるのか?」
「……まぁ、そうなるだろうな。ただ、その辺りの情報は手に入りづらいだろ?向こうの世界でもそんな情報を握れる人なんていないだろうし。」
それに星奈が頷く。まぁ、彼女は娘を失って鬱っぽく憔悴していたので分からないのは仕方の無い事だ。ただ私達は手掛かりを見つけておく事も必要なのでは無いかと思い情報提供者になりそうな人物について議論しあった。
「……こちらの世界に呼ぶ訳じゃ無いからその辺りに注意して聞こうかな。元専属執事のセバスに。」
私がそう言うとマルフ以外の4人は驚愕していた。いや、セバスの名前だけで驚かないで欲しいと思っていると、どうやら伝説の執事の弟であり優秀な執事を専属にしていたという事があまり進じられないらしい。まぁ、私はそれを気にせずセバスを『トモダチ顕現アプリ』で呼びだすのだった。