前世と今世-1
とりあえずマルフに頼んで大橋を起こした後、私はこの様な人間を見たことは無いかを尋ねた。しかし2人は前世は別の世界だと言う人間を見たことは無いと話すのだった。
「……つまり、そちらでは前世が私達の世界の人間は未だに見つかっていないのか。」
「そうですね。」
「ただ、前世がこちらの世界の者は全員25歳だという法則がある。これまで出会ってきた者全てが25歳だったからな……。まぁ、赤ん坊になって生まれ変わっているのだから年齢が統一されるのも仕方が無い訳だ。」
私がそう言うと大橋はまた考え込んでいた。まぁ、流石にこの世界の25歳が全員転生者という訳では無いのだ。だがしかし、心当たりがあるような無いようなという様な悶々とした感じになっているのだろう。
「……まぁ『鑑定』使えば前世が見えるけどな。あくまで私達の世界限定だけど。」
「そうなんですか……。でも会っても気付かないこともありそうですよね?今回は睦月のお父さんという関わりがある人間だった訳だし。」
「正確にはマルフが昼食でここに連れてこなかったらオーカーには会ってないんだよ。ただこの辺りも結構密集しているんだよな……。近くの国にも1人いる訳だし。」
その1人であるミューキに関しても偶然情報が手に入った事、その次の国で偶然出会えた感じで出会った訳だしなぁ……。そう思いながら私はとりあえず話を進めた。
「……まぁ、前世関連の話しはここまでにしよう。これ以上話していると色々と面倒になってくるからな……。で、大橋はどこで過ごす?」
「……ここで暮らすのも悪くないけど黒華鉄に着いていくのも悪くないのよね……。何やら色々と隠していそうだし。」
「正直私はこれ以上旅のメンバーを増やしたくは無いんだが。」
最初は私のキャラとなったランタンだけだったが、その後アルミナとラピが入り、聖剣が擬人化したアルも加入した。そして一時的にという形ではあるがガンダレスとジルフェも加わり、カグヤも旅に着いてくるようになっている。
まぁ、ガンダレスとジルフェはこの用事が終わればというか、もうどこかへと行っただろうと思える。ただその中に大橋を入れるとかなり面倒な気がするのだ。いや、足手まといになりそうな彼女を連れて行けるか?という問題が大きいのだけどね…。
「済まないが命の危険がある旅に同行はさせたくないな。緊急事態が起こるのが稀だが守りきれん。」
「それでも構いませんよ。少なくとも自分の身くらいは守れますから。」
その結果、カグヤを旅に同行させるという点をつかれ、私は大橋を旅に同行させるという事になってしまった。ただし裏切りなどをしないようにと誓約書はキッチリ書かせたが。