トランプルーレット-2
「……まぁ、分かりやすいように盤の並びは変更するけどね……。」
私はそう言ってからカードをシャッフルせずに好きなように並べてみる。恐らくそれでもルール違反とはならないだろう。……まぁ、複雑性では負けるかもしれないが。
「……いや、これ結構微妙な並びだよね……。カードを引けるか分からないし。」
「これならトランプルーレットⅡにした方が良かったか……?」
マーシェの言うⅡの方は今やっているのとは違い、全員がトランプのワンセットを持っている。そしてそれが掛け金代わりとなっているらしい。……リスクなどを考えればそちらの方が難しいかもな……と思いながら私はトランプを置きルーレットの目を変更するのだった。
今回私が作った盤の目の並びはジョーカーから時計回りにスペード、ハート、クラブ、ダイヤという感じでA~5、6~10、J、Q、Kと並べた。その為ポーカーの役で言うストレートならばそれなりに有利になりそうな感じだ。
「……じゃあ早速始めますか……。」
「ちなみに1回での最大レイズ数は合計10枚までだから気をつけておいてね。まぁ、このゲームは誰かのコインが0になるか50回で終わらせるから。」
「……長いのでせめて30回に減らしてください。」
「まぁ、掛け金は無いしそれくらいでいいか。」
30でも長すぎる気がするが気にしない方針で行こうと思えた。まぁ、誰かのコインが0になる方が速いかも知れないがな……。と思いながら私は4人にカードを5枚ずつ配る。それを見てカグヤは不安そうな目で周りを見た後に黒に10枚レイズしていた。
まぁ、球が4つもあるので全て赤、または全て黒が中々無いだろうからな……どこか1つでも入れば当たりの為、こんな賭け方をしても問題は無いだろうと思う。まぁ、現場維持をするならば赤と黒に5枚ずつ賭けるのを続ければ良い。そうすればジョーカーが出ない限りはコインが増えることは無いものの、減ることも無いのである。
「……じゃあ私はハートに2枚、赤に4枚賭けようかな……。ポーカーだったらロイヤルストレートフラッシュで勝ちだったのに……。」
今度はマルフがレイズしていた。カグヤと似たようなかけ方だが、ハートに入ればかなりそれなりにコインを増やせる。球は四つあるので当たる可能性はかなり高いだろう。
「……とりあえず四つのマークにそれぞれ1枚ずつレイズ。」
レルミーの方は運が良いのか四つのマークを揃えた手札となっていた。しかし慎重に行く為なのかかなり堅実な手を出してきた。これなら最大でも3枚しか無駄にならないのだ。まぁ、球が四つな事を考えれば1枚も無駄にならない可能性もある。
ただ、マーシェの手だけはどの様な意図があるのかさっぱり分からない私なのだった。いや、極振りに近い事は分かるが……彼女の考えている事が本気で分からない様な手である事は確かだったけどね……。